新規事業開発を加速するリアルなAI活用とは?—コンサル現場で進む「AI×3C」「ジェム/GPTS」実装の実務的示唆
最終更新日:2025年08月28日

急速に進化する生成AIやLLMは、新規事業開発やマーケティングの在り方そのものを変えつつあります。
本記事では、『PMFの教科書』著者であり、B2Bマーケティング支援で定評ある株式会社才流(サイル)代表取締役社長の栗原康太氏に、新規事業を推進するうえでのリアルなAI活用事例と今後の展望を伺いました。
本記事は、YouTube動画「新規事業開発を加速するリアルなAI活用とは?」の文字起こし内容をもとに再構成しています。
株式会社才流(サイル):https://sairu.co.jp/
目次
株式会社才流とは?——事業開発・マーケティング支援の専門家集団
株式会社才流(サイル)は、代表の栗原康太氏が2008年から取り組んできたB2Bマーケティングの知見を基盤に、企業のマーケティング活動だけでなく、事業開発や営業、カスタマーサクセスといった売上に直結するプロセス全体を包括的に支援するコンサルティング企業です。
これまでの支援実績は累計で220社以上、プロジェクト数では300件を超えており、大手企業をはじめ、スタートアップや中堅企業など、規模やステージを問わず幅広いクライアントに対応してきました。
支援領域は、B2Bマーケティングにとどまらず、事業開発、営業戦略の構築、そして顧客満足度の向上を目指すカスタマーサクセス領域にまで及んでいます。
新規事業「SAIRU for BtoB Marketing」とは?
現在、栗原氏が95%以上の時間を投じて注力しているのが、自社の知見をSaaS的に展開する会員制プラットフォーム「SAIRU for BtoB Marketing」です。
特徴と提供価値
- 累計300件以上のプロジェクト知見をストック:Web上に500本以上を公開。非公開含め1,000〜2,000件規模のノウハウを社内に蓄積。
- eラーニング+コンテンツ+エキスパート支援:顧客企業が自走して成果を出すための、教育・実務支援一体型サービス。
- マーケ〜CSまで一気通貫で支援:売上に直結する全フェーズを対象とする包括的な伴走型支援。
才流における実践的なAI活用3選:競合調査・顧客理解・業務効率化を支える仕組みとは
生成AIやLLMは、単なる業務効率化ツールにとどまらず、戦略設計や顧客理解を深める上でも大きな武器となりつつあります。
ここでは、株式会社才流が新規事業開発やB2Bマーケティングの現場で実際に取り入れている3つのAI活用手法について紹介します。
AIの活用①:競合分析×時間軸
特にインパクトが大きかった活用が「競合の発展経緯のAI分析」です。3C分析の「コンペティター」の視点に時間軸(過去〜未来)を導入し、AIを活用して類似業界や競合企業の発展プロセスを抽出・構造化しています。
創業者の経歴、社会背景、初期のビジネスモデル、価格戦略の変遷などをAIに整理させることで、自社戦略や顧客向け戦略の立案に活用しています。
AIの活用②:Gemini × 顧客インサイト管理
GoogleのGeminiに搭載されている「ジェム機能」を活用し、インタビューや営業活動で得た顧客インサイトを蓄積・検索可能な状態に。記憶に頼らず、詳細な顧客像や検討プロセスをAIが記憶・出力する仕組みを構築しています。
顧客が「500万円を高いと感じているか」「購買意思決定者は誰か」などのデータを都度呼び出せるようにし、属人化の解消と顧客理解の精度向上に貢献しています。
関連記事:「Geminiとは?使い方、機能、活用事例、API、料金プラン、AIエージェントを目指す進化を徹底解説!」
AIの活用③:GPTsによる業務テンプレート化
才流では、業務の中でも特に繰り返し発生する定型タスクに着目し、それらをGPTs(ChatGPTのカスタムエージェント機能)として設計・展開しています。
代表的な活用例としては、B2Bのマーケティング支援で頻出する「定量アンケートの設計」「競合調査」「仮説レビュー」などがあります。これらは案件ごとに個別対応していたものの、実際には一定の共通構造があるため、プロンプトを整備することでGPTsとして再利用可能な仕組みに落とし込んでいます。
当初は「コンサル業務全体をAIで代替できるか?」という大きな問いで検証が進められましたが、大手クライアントとの業務は非定型の要素が多く、AI導入の効果は限定的でした。そこで視点を切り替え、「どの案件でも共通して発生する工程」だけに対象を絞ることで、具体的な定型業務の効率化に成功しています。
このようにして整備されたGPTsは、1人のコンサルタントが100体の簡易AIエージェントを使いこなすかのような形となり、「1人+100AI体制」による生産性の最大化を目指す取り組みとして、組織内に急速に普及し始めています。
関連記事:「ChatGPTに自社データを学習させるGPTsとは?何ができる?活用例、注意点徹底解説!」
AIと人間の役割分担
「思考の代替ではなく、補完」と語る栗原氏。AIは情報の収集・要約・整理までに留め、判断や戦略設計、現場適用は人間が担うべきという考えを持っています。
特に顧客の検討タイミングや「温度感」といった非構造情報は人間が拾うべきとし、AIはそれを忘れずに記録し、再利用するための「記憶装置」として活用されます。
AI活用の本質は「問いの精度」にある
栗原氏は、AIを業務に導入する際に大切なのは「どこで、なにに使うか」を明確にすることだと述べています。
実際、コンサルティング業務全体へのAI導入を試みたものの、大手向け案件では非定型な要素が多く、十分に機能しませんでした。そこで、定量調査や競合分析など、定型的かつ繰り返される業務に対象を絞ったことで、活用が進んだといいます。
AIが生成する情報は見やすく整理されていますが、顧客の本音や市場の温度感といった「今」の文脈に照らして判断する部分は、やはり人間の役割。
だからこそ、AIに「何をどう問いかけるか」が活用の成否を分ける鍵になっていると語っています。
▼Youtube動画はこちら
まとめ:新規事業とAI活用は共進化する
新規事業におけるAI活用は、単なる効率化を超えて、戦略設計や組織知の継承といった本質的な進化をもたらします。
生成AIの活用は「誰が・何を・どう判断するか」という経営そのものへの問いを伴うものであり、栗原氏のような経営者による戦略的活用が今後のスタンダードとなるでしょう。

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