受注率10%向上を実現した“営業AI活用の最前線”─セールスリクエスト原氏が語る実践ノウハウ
最終更新日:2025年11月25日

急速に進化する生成AIやLLMは、営業やマーケティングの現場におけるアプローチそのものを大きく変えつつあります。
本記事では、インスタントセールスのアウトソーシングやCRM活用支援を中心に、これまで約300社のBtoB企業を支援してきた株式会社セールスリクエスト 代表取締役社長・原氏に、営業現場におけるAI活用のリアルと実際に成果につながっている取り組みについて伺いました。
本記事は、YouTube動画「受注率10%UP!営業が激変した本当に使えるAI活用とは?【インサイドセールスの最前線】」の内容をもとに再構成しています。
株式会社セールスリクエスト:https://www.sales-request.com/
目次
株式会社セールスリクエストとは?——インサイドセールスと営業DXの専門集団
株式会社セールスリクエストは、インスタントセールスのアウトソーシングとHubSpotなどCRMを活用した営業・マーケティングDX支援を軸に、BtoB企業の営業活動を総合的に支援する企業です。
支援実績は累計300社超を超え、商談創出・インサイドセールス・ナーチャリング領域の改善に強みを持ち、業種や企業規模を問わず幅広いクライアントを支えています。
セールスリクエストが注力する領域
原氏が現在最もリソースを投じている領域は、営業現場へのAI導入と、自社のセールスマーケティングの高度化です。
特に力を入れているテーマは以下のとおりです。
- 商談後の高速な提案資料・議事録作成
- 失注理由をもとにした再提案(掘り起こし)メールの自動生成
- トップ営業の音声ログをAI分析し、強いスクリプトを再現
- AIを使った営業リスト作成と精度向上
- 将来的なAIコール(受付突破)への挑戦
これらはいずれも 「営業現場の再現性を高めること」 を目的にしており、属人化を排除しながら成果を引き上げる取り組みが進んでいます。
セールスリクエストの実践的なAI活用3選
生成AIは単なる効率化ではなく、営業現場における提案品質や顧客体験の改善にも大きく寄与しています。
ここでは特に成果につながっている3つの活用事例を紹介します。
AIの活用①:商談後15〜30分で“議事録兼・提案資料”を自動生成
商談終了後、最速15〜30分で高品質な議事録と提案方針をまとめたドキュメントを送付しているセールスリクエスト。
使用しているのは、議事録アプリ、GPTによる構造化テンプレート(現状整理 → 提案方針 → 実施体制 → 確認事項 → Next Action)という独自セットです。
これにより生まれた効果は大きく、
- 受注率が体感で10%向上
- 指名での再問い合わせが大幅増加
- 商談中の要点整理が自動化され、顧客がそのまま社内で共有できるレベルの資料に
といった成果が出ています。
特に、「半年後〜1年後の再問い合わせ」が増えた点について、原氏は「良質な議事録が顧客の記憶装置になっている」と語っています。
AIの活用②:失注理由×顧客情報で“掘り起こしメール”を1分で生成
インサイドセールス部門では、失注理由を入力するだけで、再提案メールをAIが1分で作成できるプロンプトを運用。
入力するのは以下の内容です。
- 失注理由
- 今回の改善提案(新しい切り口)
- 顧客情報
- 期待するゴール(例:30分の打ち合わせ獲得)
これだけで、1to1の高精度な個別提案メールが自動生成されます。
効果として、以下のような点が挙げられています。
- 月数件の追加商談が安定的に創出
- ナーチャリングコンテンツよりも精度の高い関係維持が可能
- 誰が作っても同品質になるため属人化がゼロ
AIの活用③:トップ営業の強いトークを分析 → スクリプト化
強い営業は「仮説提案の当て方」が巧みですが、その型を明文化するのは難しいとされてきました。
セールスリクエストでは、トップ営業の音声ログを文字起こしし、GPTに分析させてスクリプト化しています。
このスクリプトは、以下にそのまま転用可能です。
- 新規開拓の電話トーク
- 既存リストへのアポ獲得メール
- 事前調査の仮説整理
初期段階から強い営業トークを再現できるため、新人でも早期に成果が出やすい仕組みとして機能しています。
今後の展望:AIコールとAIリスト生成へ
「思考の代替ではなく、補完」と語る原氏。AIは情報の収集・要約・整理までに留め、判断や戦略設計、現場適用は人間が担うべきという考えを持っています。
特に顧客の検討タイミングや「温度感」といった非構造情報は人間が拾うべきとし、AIはそれを忘れずに記録し、再利用するための「記憶装置」として活用されます。
AI活用の本質は「問いの精度」にある
セールスリクエストが次の注力領域として見据えるのは、営業プロセスの上流部分に対するAI活用です。
これまで同社は、商談後の提案作成や失注フォローなど中盤以降の工程で成果を上げてきましたが、今後はアポイント獲得段階にもAIを導入していきます。
① AIコールで受付突破を自動化
米国ではすでに、一次受付をAIが代行するプロダクトが普及しはじめています。
原氏はこれを「初動の再現性を高める鍵」と位置付け、建設業や介護施設など、多拠点に連絡する業態での活用可能性を探っています。
自社構築はまだ難しいものの、外部サービスとの連携も視野に、“AIが受付を突破し、人間が商談に集中する”体制を目指しています。
② AIで鮮度の高い営業リストを維持
もう一つのテーマが、リスト精度向上です。
多くの営業リストツールは、組織変更への対応遅延、部署情報の更新不足など、最新性の問題を抱えています。
原氏は「営業の8割はリストで決まる」と語り、AIを活用して情報更新の自動化、内製でのデータメンテナンスに取り組む方針を示しています。
最新情報を基点にした攻め方を当たり前にすることが、営業成果の最大化に直結するという考えです。
▼Youtube動画はこちら
まとめ:新規事業とAI活用は共進化する
セールスリクエストの取り組みから見えるのは、AIは単なる効率化ツールではなく、「再現性の高い営業プロセスを構築するための武器」ということです。
不空数の成果がすでに現れており、AIと営業がともに進化していく未来が見えています。
AIは営業の思考を代替するものではなく、考える時間を取り戻すための装置です。
原氏のように、現場での徹底活用から逆算してAIを組み込む企業こそ、これからの営業組織のスタンダードとなっていくでしょう。

AI Market 運営、BizTech株式会社 代表取締役|2021年にサービス提供を開始したAI Marketのコンサルタントとしても、お客様に寄り添いながら、お客様の課題ヒアリングや企業のご紹介を実施しています。これまでにLLM・RAGを始め、画像認識、データ分析等、1,000件を超える様々なAI導入相談に対応。AI Marketの記事では、AIに関する情報をわかりやすくお伝えしています。
AI Market 公式𝕏:@AIMarket_jp
Youtubeチャンネル:@aimarket_channel
TikTok:@aimarket_jp
運営会社:BizTech株式会社
掲載記事に関するご意見・ご相談はこちら:ai-market-contents@biz-t.jp
