AIは警備・セキュリティ業界をどう変える?活用方法・メリット・事例を徹底解説!
最終更新日:2024年09月23日
AIは警備・セキュリティ業界でも導入が始まっており、監視カメラや3Dを利用したバーチャル警備などさまざまな活用事例が報告されています。実際に、AIの精度は年々上がり、社会のさまざまなシーンで導入され始めています。
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目次
警備・セキュリティ業界が直面する課題
日本の警備・セキュリティ業界が直面している課題には、人手不足・セキュリティに関するサービスの需要増加・業務効率化の対応が挙げられます。ここでは各課題に関する詳細を解説していきます。
人手不足
警備・セキュリティ業界は深刻な人手不足に直面しています。厚生労働省のデータでは2024年4月時点で保安業界の有効求人倍率が5.57倍であることが発表されました。警備員1人あたり6件程度の求人があることを意味し、深刻な人手不足が浮き彫りになっています。全体平均の1.26倍と比べても高さは顕著です。
警備・セキュリティ業界が人手不足になっている要因には、固定の就業時間による勤務体制や仕事上のリスクなどが挙げられます。警備・セキュリティ業界ではフルタイムかつ固定の就業時間が一般的であり、パートタイムとフルタイムの人員を組み合わせにくい問題があります。仕事上、事故や事件に合いやすい職種であり、仕事に対する懸念も生まれやすい問題も存在します。
セキュリティに関するサービスの需要増加
警備・セキュリティ業界では、インターネットの普及によるサイバー攻撃などのセキュリティサービス需要増加も課題として直面しています。サイバー犯罪は年々増加傾向にあり、その手口も非常に複雑化しています。専門的なスキルを持つ企業によるサーバーセキュリティの需要が増加しています。
市場は拡大している反面、警備・セキュリティ業界の人手不足とともにサイバーセキュリティ分野の人材不足も深刻です。
業務効率化・自動化の対応
警備・セキュリティ業界は、人手不足や高齢化の影響で業務の効率化や自動化の対応が迫られています。2019年時点で警備員の平均年齢は51.6歳であり、他の職種に比べても高く、長時間労働かつ超過労働時間も25時間であるなど数多くの問題が報告されています。
働き方改革による残業時間の削減の取り組みが行われる現在、警備・セキュリティ業界の業務効率化と自動化の導入はすぐに対応すべき課題になっています。
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警備・セキュリティ業界でAIを活用する方法・メリットは?
AIを警備・セキュリティ業界で活用する方法やメリットには人件費の削減やヒューマンエラーの防止、24時間体制の警備ができることが上げられます。AIの活用方法やメリットを理解することで、自社の抱える課題や問題に活かせるようになるので、ぜひチェックしていきましょう。
人件費の削減・軽減
AIを活用することで警備・セキュリティのリソースの削減や軽減をすることができます。AIを活用した警備を利用することで、警備員の負担を軽減でき、警備コストの削減にもつながります。
AIを搭載した監視カメラなどの導入では、画像分析によって怪しい行動の早期発見(異常検知)を可能にするため、警備員を常時配置する必要がなく人件費の削減を実現します。警備員を多く抱える必要もなくなり、人員不足の問題の解消にもつながります。
犯罪予測
近年、AIによる機械学習を利用して犯罪を予測する技術の研究が進められています。過去の犯罪データをAIに学習させることで、犯罪が発生しやすい場所や時間帯などのパターンを見つけ出し、先回りして警戒や防犯対策を行うことができます。
過去の犯罪発生データや人口統計データ、天気・曜日・時間帯などのデータを組み合わせて分析し、特定のエリアや状況下で犯罪が起こりやすいことを予測します。そのエリアに重点的に警備員を配置したり、監視カメラを増設するなどの対策を行うことが可能になります。
また、不審者の行動パターンをAIに学習させ、監視カメラの映像から似た行動をする人物を検知可能です。犯行に及ぶ前に職員が声掛けを行ったり、警備員が優先的に確認するなどし、未然防止を図る。
AIの予測機能を活用することで、限られた人的リソースを効果的に配置でき、犯罪抑止力の向上が期待できます。
ヒューマンエラーが防止できる
AIを活用すると警備やセキュリティにおけるヒューマンエラーの防止が可能です。人的に監視していた領域や警備の巡回漏れをAIによってカバーし、ヒューマンエラーのリスクをAIによって補うことができます。
AIを搭載した監視カメラでは動画解析による行動分析で不審な行動の発見ができたり、警備ロボットを導入することで人では巡回が難しいエリアなどをもれなく監視できるなどのメリットもあります。
24時間体制の警備が可能
AIの活用によって24時間体制の警備が可能になります。AIは24時間稼働できるため、長時間労働や超過労働が起こりやすい警備・セキュリティ業界において働き方の改善につながります。
また、長時間労働による不注意などのミスも防ぐことができるため、ヒューマンエラーを防ぐことにも関係します。AIを搭載した警備ロボットを導入すると、過酷な労働環境や危険な作業を人の代わりに行うことができるため、警備員の負担を軽減することが可能です。
警備・セキュリティ業界でのAI活用の具体的事例7選
警備・セキュリティ業界では、すでにAIを活用したさまざまな具体的事例が報告されています。具体的事例を見ていくことで自社でどのようにAIが活用できるかをイメージしやすくなるので、ぜひチェックしていきましょう。
【株式会社アジラ】周辺の早期異常検知
株式会社アジラでは、自社が提供するAI警備システム「AI Security asilla」によって人の行動認識や検知、予兆の検知による防犯などのサービスを提供しています。AIが防犯カメラの映像データをもとに画像解析を行い、異常な行動を行っている人物を特定しアラートしてくれます。
異常検知時では、1秒以内に通知されるため不審な行動の見逃しを防止し、周辺の早期異常検知を実現しています。人の目では気づきにくい行動や見落としやすい行動を捉え、防犯性の向上につながります。
関連ニュース記事:「行動認識AI技術を活用したAI警備システム「アジラ」、東京・新川の高層マンションに初導入」
【セコム株式会社】3Dモデルを利用したバーチャル警備
セコム株式会社では、3Dモデルを利用したバーチャル警備システムを提供しています。バーチャル警備システムとは、AIを搭載した3Dモデルのキャラクター「バーチャル警備員」がディスプレイに表示され、実際の警備員のように周辺の状況を監視するシステムです。
バーチャル警備員に近づくと目合わせや声かけを行ったり、来訪者の背丈に合わせて腰をかがめるなど人間のような振る舞いも行うことができます。警備の他にも音声認識による受付業務にも対応し、設定された対話シナリオに沿って受付業務を行うことが可能です。
【株式会社トリニティー】警戒エリアの人・車の侵入検知
株式会社トリニティーは、AIカメラを利用して警戒エリアに人や車の侵入を検知するセキュリティシステムを提供しています。AIを搭載したカメラにより侵入者の検知を実現し、即座に通知できるようになりました。従来のセンサーでは導入コストが高い、センサーを通り過ぎてしまうと中の状況を検知することが難しい、ものや動物などにも反応する誤作動などの問題がありました。
トリニティーが提供するAIカメラでは、AIが画像認識によって学習することでリアルタイムの異常検知を実現し、予算に合わせてカメラを設置するだけというコストの調整が可能です。画像解析によってものや動物を正確に判断できるため誤報を抑えることも可能です。
https://www.trinity4e.com/ai-keibi/index.html
【株式会社VAAK】犯罪行為の自動検知
株式会社VAAKは万引き防止システム「VAAKEYE(バークアイ)」を開発し、犯罪行為の自動検知ができるサービスを提供しています。VAAKEYEを導入した大手小売店で万引きの瞬間を捉え、逮捕に至ったケースが実際に報告され、注目を集めています。
AIが歩幅や関節の動きなど細かい部分までポイントとして画像認識し、不審な行動を学習することで今までの犯罪防止システムより複雑で見つけにくい行動まで認識できるようになりました。自動検知された犯罪情報は警察への情報提供が可能で、当日の逮捕だけでなく映像証拠をもとにした後日逮捕も進んでいます。
【セントラル警備保障株式会社】小規模エリアのセルフセキュリティ
セントラル警備保障株式会社は、CSPライトセキュリティというセンシング技術を利用したサービスを提供しています。センシングとは、センサーを利用して人間の感覚の代わりに対象物の測定や異常な動きの検知をする技術を指します。
CSPライトセキュリティではWi-Fiの電波が届く領域でセンシングにより24時間365日監視し、侵入者や異変の完治を行うセルフセキュリティを実現しています。電波の波を感知するAI機能が、通常と異なる動きを異変として捉えて通知するため、リアルタイムで異常が発生を知ることができます。検知レベルの調整も可能で、ものや動物の動きなどのノイズを検知しないように感度レベルを変更できるため誤報によるアラートを防ぐこともできます。
https://www.we-are-csp.co.jp/personal/column/column85.php
【パナソニック コネクト株式会社】危険エリアの管理効率化
パナソニック コネクト株式会社は、AIネットワークカメラを利用して工場内の危険エリアの管理を効率化するサービスを提供しています。AIが映像データを機械学習し動体検知することで、対象エリアで人の侵入を検知し管理者に通知すると同時に、当事者の注意喚起を行います。
危険エリアの管理を効率化するだけでなく不注意の事故や現場の注意喚起を行うため、リソースの削減にもつながり安全な労働環境の確保が可能です。
【神戸市】AIの予測機能を犯罪防止に役立てる
神戸市では、AIによる犯罪予測技術を活用した防犯パトロール支援アプリ「パトコミュ」の実証実験を開始しました。「パトコミュ」は、開発企業のSingular Perturbations社の高度な犯罪予測AI「CRIME NABI」を活用しています。このアプリでは、以下のようにAIの予測機能を防犯パトロールに生かしています。
- パトロールルート作成
パトロール距離と必須の通過ポイントを指定すると、AIが犯罪発生確率の高い場所を効率的に巡回する最適ルートを自動生成。 - パトロール支援
GPS機能で実際のパトロール経路を記録。落書きや不法投棄なども写真付きで簡単に報告でき、電子日報が自動作成される。 - 管理・分析
クラウド上の電子日報をリアルタイムに確認可能。過去の記録や犯罪予測データを分析し、パトロールを改善できる。
このように、膨大なデータからAIが犯罪パターンを学習し、発生しやすい場所や時間を予測。その情報をもとに人的リソースを最適に配置することで、効率的かつ効果的な防犯活動を可能にしています。
関連ニュース記事:「AIで防犯パトロールを効率化するSingular Perturbationsの「パトコミュ」、神戸市が実証実験を開始」
AIの警備・セキュリティ業界についてよくある質問まとめ
- AIを活用した警備・セキュリティシステムにはどのような具体的事例がありますか?
AIを活用した警備・セキュリティシステムの具体的事例には以下のようなものがあります。
- 株式会社アジラの「AI Security asilla」:周辺の早期異常検知
- セコム株式会社の3Dモデルを利用したバーチャル警備
- 株式会社VAAKの「VAAKEYE」:犯罪行為の自動検知
- パナソニック コネクト株式会社のAIネットワークカメラ:危険エリアの管理効率化
- 神戸市の「パトコミュ」:AIによる犯罪予測技術を活用した防犯パトロール支援アプリ
- AIを警備・セキュリティ業界で活用するメリットは何ですか?
AIを警備・セキュリティ業界で活用するメリットには以下のようなものがあります。
- 人件費の削減・軽減
- 犯罪予測による効果的な防犯対策
- ヒューマンエラーの防止
- 24時間体制の警備が可能
- 不審行動の早期発見と迅速な対応
- 限られた人的リソースの効果的な配置
- AIを活用した犯罪予測技術はどのように機能しますか?
AIを活用した犯罪予測技術は以下のように機能します。
- 過去の犯罪データ、人口統計データ、天気・曜日・時間帯などのデータを分析
- 特定のエリアや状況下で犯罪が起こりやすいことを予測
- 予測結果に基づいて、重点的に警備員を配置したり監視カメラを増設
- 不審者の行動パターンをAIに学習させ、類似行動を検知
- 限られた人的リソースを効果的に配置し、犯罪抑止力を向上
まとめ
今回はAIが警備・セキュリティ業界をどう変えているか、具体的事例を交えながら解説してきました。AIを搭載したカメラによって、今まで気づきにくい犯罪行為の検知やリアルタイムのアラートを実現するなど、
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