Agoop、人流データとAIを活用して津波避難状況をリアルタイムで把握する実証実験を実施
最終更新日:2022年10月25日
株式会社Agoopは、2022年11月5日、人流データとAIを活用した津波避難状況のリアルタイム把握に関する実証実験を、日本赤十字看護大学附属災害救護研究所と共同で実施する。
Agoopは、ソフトバンク株式会社の子会社として位置情報を活用したビッグデータ事業を手がける企業だ。今回の実証実験は、北海道根室市にて内閣府が実施する地震・津波防災訓練において行われるものであり、災害時の孤立地域に対する支援の改善を目的としている。
目次
<本ニュースの10秒要約>
- 北海道根室市の地震・津波防災訓練で実施、人流データを活用して災害時の孤立解消を図る
- 訓練参加住民へスマホアプリを配布して避難状況に関する情報を収集、避難場所を迅速に特定
- 防災科研の委託事業で開発したAI技術を用いて解析、平時でも避難計画の策定などに貢献
災害時の孤立解消には、避難先情報の迅速な収集・共有が重要
近年の日本では、新潟県中越地震や東日本大震災といった地震災害時に、被災者・被災集落の孤立が生じた。また東日本大震災や熊本地震では、指定外避難所での避難に関する課題も報告されている。
孤立や避難に関するこうした課題は、今後も災害時において生じる可能性がある。2021年12月に内閣府が公開した「千島海溝・日本海溝沿い巨大地震の被害想定」では、地震自体による電力インフラなどの被害に加え、津波により広範囲の地域で避難者の孤立が生じると予想している。
災害時の孤立を解消するためには、発災初期において行政・救援機関が避難先に関する情報を収集・共有することが必要だ。特に災害が厳冬期で発生した場合は、低体温症による健康被害を予防する上でも、孤立避難者に関する情報を迅速に収集し、救援活動の意思決定に反映させることが重要となる。
防災科研の委託事業としてAI技術を開発してきたAgoop
Agoopは、行政による災害時の孤立解消の取り組みを支援すべく、今回の共同実証実験を実施するに至った。
位置情報データの活用事業を展開する同社は、2018年から内閣府のPRISM(官民研究開発投資拡大プログラム)において「官民データ連携による応急対応促進」に参画。防災科研(国立研究開法人防災科学技術研究所)の委託事業として、「災害時における人の流れの把握や避難誘導等の効率化のニーズに基づく研究開発」にてAI技術も開発してきた。
実際の災害現場におけるデータ活用についても、同社は実績を持つ。熊本県を中心に発生した令和2年7月豪雨の際には、熊本赤十字病院による救援活動の意思決定に同社が提供した人流データが活用されている。
人流の異常をリアルタイムで検知、避難行動の事後分析も
今回の実証実験では、11月5日に北海道根室市にて実施される地震・津波防災訓練実施時に、人流データを用いて避難状況に関する情報が収集される。
人流データの収集に際しては、避難訓練実施地域の参加住民へスマートフォン(スマホ)アプリを配布。位置情報の収集について同意を得た上でデータを収集し、避難場所の迅速な特定および避難行動・交通状況などの把握が図られる。
避難場所の特定に関する検証では、Agoopが防災科研の委託事業で開発したAI技術を活用。人流の異常をリアルタイムで検知し、避難場所の迅速な特定を目指す。また、津波発生時の想定津波浸水エリアと人流データを重ねて分析し、避難行動(交通)の分析も行われる。
データは、交通・観光・健康医療といった分野でも活用
今回の実証において取得する人流データについてAgoopは、発災時においては迅速な救援活動の実現に寄与するものであると考える。また平時においても、避難訓練との連携により避難計画の策定に貢献し、交通・観光・健康医療といった分野の分析への活用も見据えている。
同社は今後も、人流データの利活用によって多様な社会問題の解決に取り組むとしている。
参照元:PRTIMES
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