セイコーエプソン、AIを活用した畜産振興に向けて長野県と連携協定を締結
最終更新日:2024年08月05日
セイコーエプソン株式会社は、2022年11月1日、AIを活用した畜産振興に向けて長野県と連携協定を締結すると発表した。
この協定は、市場規模が大きい一方でDX化による生産性改善の余地が大きい畜産業において、AIを活用した家畜の健康管理技術の開発・普及を進めるというものだ。AIによる飼料成分の迅速判定や、画像判定による身体状況の把握などが目指される。
<本ニュースの10秒要約>
- 市場規模が大きい一方で生産性改善の余地も大きい畜産業で、AIを活用した家畜の健康管理技術を開発
- 2022年度は、家畜のボディーコンディションスコア判定と飼料成分の迅速判定を、AI活用により実現へ
- 経験の浅い技術者・農家でも判定・分析を可能にすることで、高齢化や人手不足などの課題を解消
独自のセンシング技術やAI技術などを蓄積してきたセイコーエプソン
セイコーエプソンは、プリンター製品などを取り扱う企業として知られるが、その一方で産業用ロボットなどを扱うマニュファクチャリングソリューションズ事業も手がけ、またマイクロデバイス事業やウエアラブル機器事業なども展開している。これらの事業を手がける中で同社は、分光/IMU/GPS/生体計測などの独自のセンシング技術や、AI技術などを蓄積してきた。
今回セイコーエプソンが長野県と締結した連携協定では、同社が蓄積してきたこうした技術と、長野県が保有する家畜に関する飼養管理/分析/健康・疾病診断技術を組み合わせて、畜産業におけるDX化の推進が図られる。
BCSの画像判定システムと飼料成分の迅速判定システムを実現
両者の取り組みでは、まずAIによるBCS(ボディーコンディションスコア)の画像判定システムと、AIによる飼料成分の迅速判定システムの実現が目指される。
BCSの画像判定システムは、簡単かつ客観的なBCS測定を通じて正確な牛の体型管理を実現するものだ。BCSでは、牛体への脂肪の付き具合をスコア1(痩せすぎ)から5(太りすぎ)までに区分する。しかし現状では、熟練した技術者の目視で判定が行われるため、ばらつきが発生しやすかった。この判定をAIで実施することで、ばらつきを解消し、また経験の浅い技術者・農家でもBCS判定を可能にする。
AIによる飼料成分の迅速判定システムは、飼料の撮影画像から飼料成分を推定できるというものだ。飼料成分の分析は、牛の体重や健康維持にとって重要な作業だが、多くのデータを活用するため時間がかかり、また飼料給与量の計算には専門知識が必須だった。この課題を画像解析技術によって解消し、迅速でコストも低い成分分析と給与量試算の簡素化が目指される。
2023年度以降は、最終生産物も含めたDX化などを目指す
BCSの画像判定システムおよびAIによる飼料成分の迅速判定システムの開発は、連携協定において2022年度の取り組みとして進められる。2023年度以降の取り組みとして両者は、牛群ドックと飼料分析の連携や最終生産物も含めたDX化、また牛の個体識別に関する研究を予定。牛の体に装着できる脈拍計/活動量計/体温計の研究なども行う予定だ。
農業領域では高齢化や人手不足などが課題化しており、農林水産業も労働環境の改善や効率化を強く求めている。セイコーエプソンと長野県は、このような状況を改善するために協定を通じた取り組みを行い、DXの推進に貢献するとしている。
参照元:PRTIMES
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