鉄スクラップAI解析システムのEVERSTEEL、鉄鋼・リサイクル業界のカーボンニュートラル実現に向けて三井物産と協業

株式会社EVERSTEELは、2023年4月25日、鉄鋼・リサイクル業界におけるカーボンニュートラル実現に向けたエコシステム構築について、三井物産株式会社と協業を開始したと発表した。

EVERSTEELは、鉄スクラップのAI解析システムを開発している企業だ。三井物産との協業では、同システムの普及に加えて、鉄スクラップの取引システムやアップサイクル（高度選別／高品質化）に資する取り組みを推進する。

＜本ニュースの10秒要約＞

• 鉄スクラップのAI解析システムを開発するEVERSTEELと、金属資源本部を擁する三井物産が協業
• 画像解析アルゴリズムを活用。現場の検収員の検収方法も理解した、EVERSTEELのAI解析システム
• 三井物産の国際ネットワークも活用し、AI解析システムを普及。鉄鋼業界の環境負荷軽減を推進
  

画像解析アルゴリズムを用いてスクラップの状態を判断

EVERSTEELは、鉄リサイクルの促進によるカーボンニュートラルの実現を掲げ、現在はAI技術を活用した鉄スクラップ解析システムの開発を手がけている。

同社の鉄スクラップ解析システムは、AIによって鉄スクラップの等級判定や異物検出を自動で行うというものだ。判定／検出においては、鉄鋼会社やリサイクル会社のスクラップヤードに取り付けたカメラで撮影した画像を活用。この画像から、画像解析アルゴリズムを用いてスクラップの状態を判断する。

判断に用いられる画像解析アルゴリズムは、開発者自らが現場に通って現場の検収員の検収方法を学び理解する形で開発された。その結果、単なる画像解析の技術だけでなく、「現場で使える」レベルの高度な等級判定／異物検出を実現している。

日本の鉄鋼業界こそがカーボンニュートラルの実現をリードすべき

EVERSTEELが鉄リサイクルの促進に取り組む理由は、日本の鉄鋼業界こそがカーボンニュートラルの実現をリードすべきであると考えるためだ。

鉄は、「産業のコメ」と呼ばれるほど多様な分野で基盤となる材料であり、人々の生活に不可欠となっている。しかしその一方で、近年は環境リスクの高まりから二酸化炭素排出量の削減が大きな課題となり、鉄鋼業界にもカーボンニュートラルの取り組みが求められるようになった。中でも、排出量を大幅に削減可能な鉄リサイクルの促進と、その原料となる鉄スクラップの利活用が、大きな注目を集めている。

こうした環境に関する取り組みは、世界一の製鉄技術を持つ日本の鉄鋼業界にこそふさわしいと、EVERSTEELは判断。AIなどの先端技術も活かす形で、鉄リサイクルに関する開発を進めている。三井物産との協業も、こうした経緯から開始されたものだ。

鉄スクラップのアップサイクルに資する取り組みも

三井物産は、世界各国で金属資源本部を通じた事業を展開しており、鉄鋼業の低炭素化に貢献すべくリサイクル事業も国内外で推進している。こうした事業の中で同社は、今後の鉄鋼業界において鉄スクラップが低炭素リサイクル原料としてさらに重要になると判断。鉄リサイクルの促進に取り組むEVERSTEELにも注目し、協業を開始するに至った。

EVERSTEELと三井物産は、今回の協業開始にあたり覚書（MOU）を締結。今後は、三井物産が擁する広範な国際ネットワークも活用する形で、EVERSTEELの鉄スクラップAI解析システムの鉄鋼・リサイクル業界における世界的普及を図る。また、鉄スクラップ取引システムの開発や、高度選別や高品質化といった鉄スクラップのアップサイクルに資する取り組みも、行われる予定だ。

EVERSTEELは今後も、AIなどの知見を活用しながら鉄鋼業界の環境負荷軽減を推進し、持続可能な社会実現に尽力するとしている。

参照元：PRTIMES

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