Google、コンパクトな270Mパラメータ搭載の軽量AIモデル「Gemma 3 270M」を発表
最終更新日:2025年08月19日

Googleは2025年8月14日、軽量でエネルギー効率に優れた270万パラメータのAIモデル「Gemma 3 270M」を発表した。
このモデルは特定タスクのファインチューニングに特化して設計されており、強力な指示フォロー能力とテキスト構造化機能を備えている。
- 270万パラメータの超軽量AIモデルで、スマートフォンでも効率的に動作可能
- 特定タスク向けファインチューニングに最適化された設計で、高い指示フォロー能力を実現
- INT4量子化でPixel 9 Pro上で25回対話してもバッテリー消費量わずか0.75%の省電力性能
Googleが発表したGemma 3 270Mは、Gemmaファミリーの新たな小型特化モデルとして位置づけられる。このモデルは総パラメータ数270万個で構成されており、うち170万個が埋め込みパラメータ、100万個がトランスフォーマーブロック用となっている。
256kトークンの大規模語彙により、特定の希少なトークンにも対応でき、特定ドメインや言語でのファインチューニングに適した基盤モデルとなっている。
同モデルは事前学習済みチェックポイントと指示チューニング済みモデルの両方がリリースされ、複雑な対話用途ではないものの、基本的な指示に対して優れたフォロー能力を発揮する。
エネルギー効率性においてGemma 3 270Mは特筆すべき性能を示している。Pixel 9 Pro SoCでの内部テストでは、INT4量子化モデルが25回の対話でバッテリー消費量わずか0.75%という結果を記録し、Gemmaモデル中最も電力効率の良いモデルとなった。
この超低消費電力性能により、リソースに制約のあるデバイスでの展開が現実的となり、オンデバイスAIアプリケーションでの活用が期待される。
また、Quantization-Aware Trained(QAT)チェックポイントも提供されており、性能劣化を最小限に抑えながらINT4精度での動作を可能にしている。
実用例として、Adaptive MLとSK Telecomの事例が挙げられる。多言語コンテンツモデレーションという課題に対し、大規模な汎用モデルではなくGemma 3 4Bモデルをファインチューニングすることで、特定タスクにおいて大型プロプライエタリモデルを上回る性能を実現した。
Gemma 3 270Mはこのアプローチをさらに推し進め、より高い効率性を実現する設計となっている。
開発者は高頻度で明確に定義されたタスク、ミリ秒単位の応答速度が求められる用途、迅速な反復開発が必要な場面、ユーザープライバシーを重視する用途、複数の専門タスクモデルを構築したい場面でこのモデルを選択することが推奨されている。
開発者向けのサポート体制も充実しており、Hugging Face、Ollama、Kaggle、LM Studio、Dockerを通じてモデルのダウンロードが可能だ。
推論ツールとしてはVertex AI、llama.cpp、Gemma.cpp、LiteRT、Keras、MLXがサポートされ、ファインチューニングにはHugging Face、UnSloth、JAXが利用できる。
完成した専門モデルはローカル環境からGoogle Cloud Runまで幅広い環境にデプロイ可能となっている。
AI Market の見解
Gemma 3 270Mの発表は、AIモデル開発における効率性重視のトレンドを明確に示している。
270万パラメータという小規模構成でありながら、大規模語彙と最適化されたアーキテクチャにより、特定タスクでの高性能を実現している点は技術的に注目に値する。
特にINT4量子化での極めて低い消費電力性能は、エッジデバイスでのAI実装において重要な意味を持つ。ビジネス面では、推論コストの大幅削減と高速応答の両立により、これまでコスト制約で導入困難だった用途での AI活用を促進すると想定される。
参照元:Google
Gemma 3 270Mに関するよくある質問まとめ
- Gemma 3 270Mはどのような用途に適していますか?
感情分析、エンティティ抽出、クエリルーティング、非構造化テキストの構造化処理、創作活動、コンプライアンスチェックなど、高頻度で明確に定義されたタスクに特に適しています。
また、プライバシーを重視するオンデバイス用途にも最適です。
- 従来のGemmaモデルと比べて何が違いますか?
Gemma 3 270Mは270万パラメータと小型でありながら、256kトークンの大規模語彙を持ち、特定タスクのファインチューニングに特化して設計されています。
消費電力も極めて低く、Pixel 9 Proで25回対話してもバッテリー消費量は0.75%に留まります。

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