Google、最新オープンモデル「Gemma 3」を発表。単一GPUで動作する高性能・軽量AIモデル
最終更新日:2025年03月13日

Googleは2025年3月12日、同社のGemini 2.0モデルと同じ技術で構築された最新のオープンモデル「Gemma 3」を発表した。
このモデルはスマートフォンからノートパソコン、ワークステーションまで、さまざまなデバイスで直接実行できるよう設計されており、サイズ別(1B、4B、12B、27B)に展開され、特定のハードウェアやパフォーマンスニーズに最適なモデルを選択できる。
- 単一GPUまたはTPUで実行可能な高性能モデルで、LMArenaのリーダーボードでLlama-405BやDeepSeek-V3を上回る評価を獲得
- 140言語以上のサポートと128Kトークンのコンテキストウィンドウを実装し、テキスト・視覚的推論能力や関数呼び出し機能も搭載
- オープンモデルでありながら安全性に配慮し、同時に画像安全性チェッカー「ShieldGemma 2」も発表、多様な開発環境との連携も実現
Gemma 3は、最新のポータブルかつ責任を持って開発されたオープンモデルとして発表された。
このモデルの最大の特徴は、その性能と可搬性の両立だ。単一のGPUまたはTPUで実行できる設計でありながら、LMArenaのリーダーボードによる人間の選好評価において、Llama-405B、DeepSeek-V3、o3-miniといった他のモデルを上回るパフォーマンスを示している。
また、35言語以上の即時サポートと140言語以上の事前学習サポートを提供し、グローバルなアプリケーション開発に適している。
Gemma 3はテキストと視覚的推論能力を備え、画像、テキスト、短い動画を分析できるため、インタラクティブでインテリジェントなアプリケーション開発を可能にする。
128Kトークンのコンテキストウィンドウを提供し、大量の情報を処理・理解する能力も向上している。また、関数呼び出しと構造化出力をサポートしており、タスクの自動化やエージェント型体験の構築に適している。
さらに、公式の量子化バージョンも導入され、モデルサイズと計算要件を削減しながら高い精度を維持できる特徴を持つ。安全性についても、データガバナンス、ファインチューニングによる安全ポリシーとの整合性確保、堅牢なベンチマーク評価など、包括的なリスク評価とバランスの取れたアプローチで開発された。
同時に発表された画像安全性チェッカー「ShieldGemma 2」は、Gemma 3基盤上に構築された4Bの画像安全性チェッカーだ。
これは危険なコンテンツ、性的に露骨な内容、暴力の3つの安全カテゴリにわたる安全ラベルを出力し、開発者が自身の安全ニーズに合わせてカスタマイズできる仕様となっている。
Gemma 3とShieldGemma 2は、Hugging Face Transformers、Ollama、JAX、Keras、PyTorch、Google AI Edge、UnSloth、vLLM、Gemma.cppなど、既存のワークフローに簡単に統合できる。また、Google AI Studio、Kaggle、Hugging Faceを通じてすぐにアクセスし、実験を開始できる。
AI Market の見解
Gemma 3の登場は、高性能AIモデルの実用化の加速を示す重要な一歩と言える。従来の大規模モデルが多数のGPUやクラウドリソースを必要としていた状況から、単一のGPUで動作する高性能モデルの提供は、幅広い開発者層へのAI技術の普及を促進する可能性が高い。
特に、140言語以上のサポートはグローバル市場での活用を広げ、企業の国際展開を技術面から支援する効果が期待される。
同時に、量子化モデルの公式提供は実装コストの低減につながり、スタートアップや中小企業にとってもAI導入の敷居を下げる効果がある。ShieldGemma 2の同時リリースは、AIの安全な実装を支援する点で重要であり、技術と倫理の両立を図る業界全体の動向を反映している。
今後はこうしたオープンモデルの性能向上と実装の簡易化が進み、AIアプリケーションの多様化と特化型ソリューションの増加が見込まれる。
参照元:Google
Gemma 3に関するよくある質問まとめ
- Gemma 3はどのような環境で実行できますか?
Gemma 3は単一のGPUやTPU上で実行できるよう設計されており、スマートフォン、ノートパソコン、ワークステーションなどさまざまなデバイスで直接実行可能です。NVIDIA GPUに最適化されているほか、Google Cloud TPUやAMD GPUとも統合されています。
CPU実行についてはGemma.cppが直接ソリューションを提供しています。サイズ別(1B、4B、12B、27B)のモデルから、お使いのハードウェアに最適なものを選択できます。
- Gemma 3はどのように使い始めることができますか?
Gemma 3は複数の方法で利用開始できます。ブラウザ上でGoogle AI Studioを使えば、セットアップ不要で完全精度のGemma 3を試すことができます。Google AI StudioからAPIキーを取得し、Google GenAI SDKでGemma 3を使用することも可能です。
また、Hugging Face、Ollama、Kaggleからモデルをダウンロードし、Hugging FaceのTransformersライブラリなどでカスタマイズや微調整を行えます。本格的な展開ではVertex AIやCloud Run with Ollamaを使用できます。

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