骨粗しょう症検診用AI医療機器を開発するiSurgery、AI特化型VCなどから8,000万円を調達
最終更新日:2022年09月28日
骨粗しょう症検診用AI医療機器を開発するiSurgery株式会社は、2022年9月6日、第三者割当増資にて8,000万円の資金調達を実施したと発表した。
同社は、胸部単純X線写真から骨密度を推測するAI医療機器を開発している医療ベンチャー。今回の資金調達では、AI特化型ベンチャーキャピタルである株式会社ディープコアなどが、引受先として名を連ねている。
<本ニュースの10秒要約>
- 胸部単純X線写真から骨密度を推測するAI医療機器を開発しているiSurgery
- 潜在的な骨粗しょう症患者をAI医療機器で発見、適切な早期治療や医療費削減を実現
- 資金調達によりAI医療機器の薬事申請を推進、医療機関などでの試験導入も予定
検査受診率は約5%と低い骨粗しょう症患者
高齢化が進む日本では、加齢に伴う骨粗しょう症患者の数が1300万人におよぶとも言われている。同疾患は、早期発見によって重症化を抑制できるが、検査受診率は約5%と低い。多くの潜在患者は、現状として未治療のまま放置されており、転倒時の骨折などを通じて手術や介護が必要な状態となる高齢者も多い。結果として、医療費増大という社会・医療的課題も生じていた。
こうした課題の解消を目指す医療ベンチャーとして、iSurgeryは事業を展開している。同社の代表を務める佐藤洋一氏は、整形外科医として高齢の骨粗しょう症性骨折患者を多く手術治療してきた人物だ。佐藤氏は、治療を手がける中で「そもそも骨粗しょう症の治療介入が適切にできていれば苦しい思いをせずに済んだのに」といった思いを抱き、課題の解決を模索。2019年からはAIに関する研究開発を開始し、iSurgeryでのAI医療機器開発を始めるに至った。
画像解析技術を用いて胸部X線写真から骨密度を推測、検診受診率を向上
iSurgeryは、骨粗しょう症検診の受診率向上を目的として、胸部単純X線写真から骨密度を推測するAI医療機器を開発している。
これまでの骨粗しょう症検診では、「骨密度計測に特殊な機器が必要である」「慢性疾患であり被検者の動機づけが難しい」といった点が課題となり、受診率の低下を招いていたと同社は判断。この課題の解決にあたり、一般的かつ撮影頻度が高い胸部X線写真の活用と、他の目的で撮影された画像の二次利用が有効であると考えた。
同社のAI医療機器では、近年大幅に向上した画像解析技術を用いて胸部X線写真から骨密度を推測することで、潜在的な骨粗しょう症患者の発見を実現。適切な早期治療を可能にすることで、医療費の削減や医療収益向上にも貢献しうるものとなっている。
AI医療機器の薬事申請を目指す形で開発を推進
iSurgeryが今回実施した資金調達では、ディープコアに加えて「STATION Ai Central Japan 1号ファンド」もまた引受先に名を連ねている。同ファンドは、ディープコアとSTATION Ai株式会社が共同で運営しているもの。STATION Aiは、ソフトバンク株式会社の子会社であり、愛知県スタートアップ支援拠点「STATION Ai」の運営事業を担っている。
今回調達した資金によりiSurgeryは、胸部X線写真から骨密度を推測するAI医療機器の薬事申請を目指す形で開発を推進する。また、自治体や検診・健診組織、医療機関などでの試験導入も予定している。
参照元:PRTIMES
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