OpenAI、新モデルo1-previewを発表。科学・数学・コーディングの難問解決能力が飛躍的向上
最終更新日:2024年10月13日
OpenAIは2024年9月12日(現地時間)、複雑な問題解決に特化した新しいAIモデルシリーズ「OpenAI o1」の最初のモデル「o1-preview」を発表した。
このモデルは、従来のモデルよりも長時間「思考」し、科学、コーディング、数学分野でより高度な問題を解決できる能力を持つ。同日からChatGPTとAPIで利用可能となり、開発者や研究者に新たな可能性をもたらすことが期待される。
<本ニュースの10秒要約>
- OpenAIが複雑な問題解決に特化した新AIモデル「o1-preview」を開発し、ChatGPTとAPIで提供開始
- 科学、コーディング、数学分野で従来モデルを大きく上回る性能を発揮し、PhD学生レベルの問題解決能力を実現
- 安全性向上のための新たなトレーニングアプローチを採用し、政府機関との連携も強化
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OpenAI o1シリーズの特徴と性能
OpenAI o1シリーズは、問題に対してより長時間「思考」してから応答するようトレーニングされたモデルだ。人間のように思考プロセスを洗練させ、異なる戦略を試し、自身の間違いを認識する能力を持つ。
性能面では、物理学、化学、生物学の難しいベンチマークタスクでPhDの学生と同等のレベルを示した。特に数学とコーディングでは卓越した能力を発揮し、国際数学オリンピック(IMO)の予選問題では83%の正解率を達成。
これは従来のGPT-4oの13%を大きく上回る結果だ。コーディング能力もCodeforces競技会で89パーセンタイルに達し、高い実力を証明している。
安全性と利用可能性
OpenAIは、o1シリーズの開発に伴い、モデルの推論能力を活用した新しい安全性トレーニングアプローチを導入した。これにより、安全性とアライメントのガイドラインをより効果的に適用できるようになった。
安全性のテストでは、ユーザーが安全規則をバイパスしようとする「ジェイルブレイク」に対する耐性が大幅に向上し、GPT-4oの22点に対してo1-previewは84点を記録した。
また、米国および英国のAI安全研究所との協力協定を締結し、モデルの公開前後の研究、評価、テストプロセスを確立した。利用可能性については、ChatGPT PlusおよびTeamユーザーが9月12日からo1モデルにアクセスできるようになり、API利用も開始された。
o1-miniの導入と今後の展開
OpenAIは、o1-previewに加えて、コーディングに効果的である小型モデル「o1-mini」も発表した。o1-miniはo1-previewの80%低コストで利用でき、推論能力が必要だが幅広い世界知識は不要なアプリケーションに適している。
今後、OpenAIはo1シリーズの機能拡張を継続し、ウェブブラウジング、ファイルおよび画像のアップロードなどの機能を追加する予定だ。また、GPTシリーズの開発も並行して進めていくとしている。
AI Market の見解
OpenAIのo1シリーズの科学、コーディング、数学分野での高度な問題解決能力は、研究開発や技術革新を加速させる可能性がある。安全性への取り組みも注目に値し、AIの社会実装に向けた重要なステップと言える。一方で、このような高度な推論能力を持つAIの普及は、労働市場や教育システムに大きな影響を与える可能性がある。
安全性の観点とは少し異なるが、精度が向上したことで、生成AIで頻出するハルシネーションの問題がどこまで解決されるのか、という点も注目だ。
企業や教育機関は、これらのAI技術を効果的に活用しつつ、人材育成や職務設計の再考が求められるだろう。今後、o1シリーズの実用化が進むにつれ、AIと人間の協働の在り方や、AIの倫理的利用に関する議論がさらに活発化すると予想される。
参照元:OpenAI
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