OpenAI o3とは?AGI実現に向けた性能、特徴、料金を徹底解説!
最終更新日:2025年01月22日
OpenAI が2024年12月に発表したAIモデル「o3」は、従来のAIモデルとは一線を画す、高度な思考プロセスを持つことが特徴です。
複雑な問題解決能力や専門知識を必要とする分野で、目覚ましい成果を上げています。
本記事では、o3 の進化したポイント、コスト効率に優れた軽量版「o3-mini」の特徴、各分野での性能評価、具体的な活用方法、そして気になる料金体系までを解説します。この記事を読むことで、o3 があなたのビジネスにどのように貢献できるか、具体的なイメージを持つことができるでしょう。
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目次
OpenAI o3とは?
OpenAIは12 Days of OpenAIの最終日2024年12月20日に新しいAIモデル「o3」を発表しました。従来のGPTシリーズとは根本的に異なるアーキテクチャを採用しているAIモデルです。
GPTシリーズが大規模なデータと計算リソースのスケーリングに重点を置いていたのに対し、o3は「思考プロセス」を重視した設計です。具体的には「private chain of thought(外部から見えない思考の連鎖)」という独自技術を採用し、複雑な問題を段階的に解決する能力を持っています。
o3は、複雑な数学的推論やプログラミングの課題、複雑なパズルなどを解決するために設計されたフラッグシップモデルで、膨大なデータ処理能力と精密な分析力を備えています。
o1からの進化ポイント
o3は前モデルのo1と比較して、数学やプログラミング、科学分野で大幅な性能向上を達成しました。ちなみにo2バージョンは存在しません。
特にソフトウェアエンジニアリングの実務能力を評価するSWE Accuracyでは、o1の48.9%から71.7%へと向上し、競技プログラミングの世界的な実力指標であるCodeforces Eloにおいてもo1の1891から2727(世界上位0.1%相当)へと飛躍的なスコアアップを実現しています。
また、博士レベルの専門知識を問う科学分野のGPQA Diamondベンチマーク(生物学、物理学、化学の高度な198問で構成)では、o1の78%から87.7%へと10%以上の性能向上を達成しました。これは人間の専門家の平均スコア65%を大きく上回る結果となっています。
o3とo3-miniの2モデル構成
o3シリーズは、フラッグシップモデルの「o3」と軽量版の「o3-mini」の2つのモデルで構成されています。
o3-miniは、o3の性能を保持しながらも軽量でコスト効率に優れたバージョンとして設計されており、中小企業や個人ユーザーでも容易に採用できる特徴を持っています。さらに、o3-miniは推論の量をHigh、Medium、Lowの3段階で調整可能で、タスクの複雑さに応じて最適な処理を選択できます。
新技術「Deliberative alignment」による安全性強化
o3シリーズには、新しい安全性確保の手法「Deliberative alignment」が導入されています。この技術では、AIモデルが回答を生成する前に、人間が作成した安全仕様を明示的に考慮するように設計されています。
具体的には、ユーザーのプロンプトを分析し、関連する安全ポリシーを特定した上で、より安全な応答を作成します。これにより、不適切なリクエストの検出精度が向上し、同時に正当な要求に対する適切な応答も実現しています。
参考:Day 12 o3 preview & call for safety researchers
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各分野におけるOpenAI o3の性能評価と実用性
OpenAI o3は、多岐にわたる分野で従来のAIモデルを大きく上回る性能を示しています。以下では、各分野における具体的な評価結果と実用性について詳しく見ていきましょう。
ARC-AGIベンチマークでの驚異的なスコア
ARC-AGIベンチマークにおいて、o3は標準的な計算リソース制限下で75.7%という高いスコアを達成しました。さらに、高計算モードでは87.5%という人間の平均スコア85%を上回る結果を示しています。
これは、GPT-3が2020年に0%、GPT-4が2024年に5%だったことを考えると、大きな進歩を示しています。
ただし、この高いスコアには相応のコストがかかります。標準モードでも1タスクあたり約20ドル、高計算モードでは172倍の計算リソースを必要とします。人間が同じタスクを5ドルで解決できると試算されていることと比較すると、まだ効率面での課題が残されています。
OpenAIはo3モデルがAGIに向けた重要な一歩だと位置付けています。しかし、まだ人間のような汎用的な知能には達していないことはOpenAI自身認めています。
数学・科学分野での専門家レベルの解答精度
数学分野では、2024年度のアメリカ数学オリンピック(AIME)で96.7%という高い正答率を記録しました。また、EpochAI Frontier Mathという専門家レベルの数学ベンチマークでは、従来のAIモデルが2%未満の正答率だったのに対し、o3は25.2%を達成しています。
数学者でも解くのに数時間から数日を要する問題に対して、大きな成果を上げています。
科学分野においても、博士レベルの専門知識を問うGPQA Diamondベンチマークで87.7%のスコアを達成。これは専門分野における人間の博士の平均スコア70%を上回る結果となっています。
コーディング能力の大幅な向上
プログラミング分野では、SWE-bench Verifiedという実務的なコーディング評価で71.7%の正確性を示し、前モデルo1の48.9%から大幅な向上を達成しました。
さらに、競技プログラミングの指標であるCodeforcesでは2727というスコアを記録しました。これは、世界ランキングで上位175位相当、上位0.1%以内の性能を示しています。
これらの評価結果は、o3が単なる言語モデルを超えて、実践的なプログラミングタスクにおいても高い能力を持つことを示しています。OpenAIのチーフサイエンティストのスコアをも上回るとも言われる性能は、プロフェッショナルレベルのコーディング支援が可能になることを示唆しています。
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OpenAI o3の利用方法と料金プラン
OpenAI o3の提供は段階的に行われ、まずは安全性の検証から開始されます。一般ユーザーへの提供時期や料金体系について、現時点で判明している情報をまとめました。
一般公開スケジュールと利用開始時期
OpenAIは2025年1月末からo3-miniの一般提供を開始する予定です 。ただし、具体的な時期は安全性テストの結果に応じて決定されます。
2025年1月10日まで外部研究者向けの早期アクセスプログラムの申請を受け付けていました。
o3本体については、o3-miniの公開後に順次提供が開始される見込みですが、具体的な時期は安全性テストの結果に応じて決定されます。この段階的な展開により、モデルの安全性と信頼性を確保しながら、より多くのユーザーがアクセスできる環境を整えていきます。
参考:Early access for safety testing
予想される料金体系と課金方式
o3の料金体系は、計算リソースの使用量に応じた従量課金制になると予想されます。標準的な使用では1タスクあたり約20ドル、高計算モードでは1000ドル以上のコストが発生する可能性があります。
o3-miniについては、基本性能を維持しながらコストを抑えた設計となっており、o1と同等の性能を約1/5のコストで実現することが期待されています。
ビジネス活用におけるOpenAI o3への期待と展望
o3シリーズの登場により、企業のAI活用は新たな段階に入ります。特に、複雑な業務プロセスの自動化や意思決定支援において、その高度な推論能力が大きな価値を生み出すと期待されています。
高度な推論能力を活かした業務効率化
o3の優れた推論能力は、特に技術文書作成や複雑なデータ分析の分野で効果を発揮します。o3は画像や音声などの多様なデータをマルチモーダルに分析する能力を持つとも予想されます。これにより、より深層に迫る分析や、多面的な最適化が可能になります。
例えば、技術仕様書の作成では、関連する要件や制約を理解し、論理的な文書構造を組み立てることが可能です。o3は問題を細分化し、各ステップで論理的に思考する能力を持っています。これにより、技術仕様書作成時に要件間の複雑な相互依存関係を理解し、整合性のとれた文書を生成できます。
また、顧客対応やマーケティング活動においても、データに基づく深い分析と提案により、顧客満足度と収益の向上につながります。画像や音声などの多様なデータを統合的に分析する能力により、顧客行動の複合的な分析や、製品設計における多面的な最適化が可能になります。
コスト効率に優れたo3-miniの活用
o3-miniは、処理速度と効率性を重視した設計により、日常的な業務での活用に適しています。特筆すべきは、推論の量をHigh、Medium、Lowの3段階で調整できる機能です。この機能により、簡単なタスクは高速処理で、複雑な分析は精密モードで実行するなど、用途に応じた柔軟な運用が可能となります。
さらに、o3-miniは1秒未満の応答時間を実現し、GPT-4と同等のレイテンシーを達成しています。このスピードと効率性は、リアルタイムの顧客対応や即時の意思決定支援に大きな価値をもたらします。
まとめ
OpenAIの最新モデル「o3」は、数学オリンピックで96.7%の正答率を達成し、プログラミングでは世界トップ0.1%の性能を示すなど、驚異的な進化を遂げています。特に注目すべきは、コスト効率に優れた軽量版「o3-mini」の存在です。High、Medium、Lowの3段階で推論量を調整でき、企業規模や用途に応じた柔軟な活用が可能となっています。
2025年1月末からo3-miniの一般提供が開始される予定であり、今後のビジネス競争力を左右する重要な転換点となるでしょう。
しかし、その高度さゆえに、導入や運用には専門的な知識やサポートが必要となる場合もあります。もし、あなたのビジネスに o3 を導入することを検討されているのであれば、ぜひ専門家にご相談ください。
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OpenAI o3についてよくある質問まとめ
- o3とo3-miniの違いは何ですか?
o3はOpenAIのフラッグシップモデルで最高性能を誇る一方、o3-miniは性能を保持しながら軽量化とコスト効率を実現した版です。o3-miniは特にHigh、Medium、Lowの3段階で推論量を調整でき、企業規模や用途に応じて柔軟な活用が可能となっています。
- o3の導入コストはどのくらいですか?
標準的な使用で1タスクあたり約20ドル、高計算モードでは1000ドル以上かかる可能性があります。ただし、o3-miniは従来モデルと同等の性能を約1/5のコストで実現することが期待されており、コスト効率の高い選択肢となっています。
- OpenAI o3 は、従来の GPT シリーズと何が違うのですか?
GPT シリーズが大量のデータと計算資源をベースに性能を向上させてきたのに対し、o3 は「思考プロセス」を重視した設計となっています。具体的には、「private chain of thought」という独自の技術を採用し、複雑な問題を段階的に解決する能力を持っています。
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