MaaSとは?移動が変わる!MaaSとAIが描く日本の未来を徹底解説!
最終更新日:2024年09月23日
MaaSって何?
MaaSにはどんなビジネスチャンスが?
MaaS(マース)とは「Mobility as a Service」(サービスとしての移動)を意味する新しい移動の考え方です。MaaSが進むことで、列車、バスなど単体の交通サービスにAIのオンデマンド機能などさまざまな技術を組み合わせ、新しい移動の価値を生み出します。
移動の利便性が向上するだけなく、日本の社会問題の解決にも繋がります。MaaSの定義、MaaSが創る未来とMaaSの進化に欠かせないAI技術を徹底解説します。
物流業界でのMaaS導入事例についてこちらの記事で分かりやすく解説しています。
観光型MaaS導入事例についてこちらの記事で分かりやすく解説しています。
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目次
MaaSとは?
MaaSは、人々や物資の移動を単なる交通手段から考えるのではなく、決済やルート選択まで含めた最適化を目指す次世代の交通サービスです。自動運転やAIなどのさまざまなテクノロジーを掛け合わせて実現されます。
当初のMaaSの考え方は、一つのアプリで飛行機、列車、バスなどあらゆる交通手段の検索、予約、決済まで行えることをめざしていました。一方、最新のMaaSは交通手段のみならず、観光、物流、医療など生活全般を一つのアプリで完結することをめざしています。
MaaSを今後さらに進める中、AIの進化は欠かせず、AIのレコメンド機能、AIオンデマンドによる自動走行などMaaSにおけるAI活用は他分野に渡ります。
MaaSの歴史
MaaSは、2016年にフィンランドで取り組みが開始されました。当時、高齢化に伴い自家用車の利用率も高まり、都市内の通行混雑の緩和を目的に、公共交通機関の積極的利用を促す目的でした。
運輸通信省主導のもと、MaaS Global社により世界初のMaaSプラットフォームアプリ「Whim(ウィム)」が開発されました。首都ヘルシンキでは、「Whim」をダウンロードすることで、電車やタクシー、バス、レンタカーなどあらゆる交通機関のダイヤの確認、予約、決済が可能となっており、一定の月額料金で全ての公共交通機関が乗り放題となっています。
MaaSの統合レベル
2022年現在、MaaSは以下のレベルが設定されています。
レベル | 定義 | ユーザーの状況 |
---|---|---|
レベル0 | 情報の統合が全くなされていない状態 | 利用の都度、各交通機関のダイヤ料金を調べなければならない |
レベル1 | 情報の統合がなされている状態 | 複数の交通機関を用いて、目的地まで最適なルート検索ができる |
レベル2 | 予約、決済の統合がなされている状態 | 複数の交通機関の検索から予約、決済までを一つのサービス、アプリで完結できる |
レベル3 | サービス提供の統合がなされている状態 | 一つのアプリで、交通機関だけでなくタクシーやレンタカーなども含めたあらゆる輸送手段の検索・予約・決済ができる |
レベル4 | 政策の統合がなされている状態 | 交通のみならず、一つのアプリで観光、物流、医療が完結する |
レベル1は、世界各国でさまざまな企業がウェブサイトやアプリなどを使って実現させ始めています。レベル2については、ハブアプリから各交通手段提供機関の決済ページに飛ぶ形で一部実現しつつあると言えるでしょう。
日本のMaaSの現状
日本のMaaSの現状は、レベル1の経過状態と言われています。一部の地域では、さまざまな交通機関や観光施設を横断して、検索・予約・決済が行えるアプリがあります。全国的に交通機関を横断した情報の一元化はまだ行えておらず、検索の情報は統合の途中、予約、決済は各交通機関での取り扱いとなっています。
今後、MaaSのレベルを上げるためには、交通機関の運営会社間の情報開示の促進、データ利用時のセキュリティ管理など法整備をより進めることが必要です。
MaaSとCASEの関連性
自動車業界では、2016年以降「CASE」が注目されてきました。「CASE」とは、以下の頭文字をとったものとなります。
- Connected(コネクテッド化)
- Autonomous(自動化)
- Shared & Services(シェア・サービス)
- Electric(電動化)
Connected(コネクテッド化)は、IoTの発達によりネットワークで自動車と他の車や道路が接続されることを意味します。事故発生時の緊急通報システム、運行中のデータを自動的に測定し、保険料の算定を行うテレマティクス保険料、盗難車両追跡システムなどが挙げられます。
Autonomous(自動化)は、衝突被害軽減ブレーキやオートクルーズコントロールの実用化が進められ、今後、さらに法整備とAIの進化に従い自動運転へ繋がります。
自動運転に用いられるAIの種類、将来性についてはこちらの記事で分かりやすく解説しています。
Shared & Services(シェア・サービス)は、カーシェアリングやライドシェアリングなど自動車を共有するサービスとなります。カーシェアリングは日本でも2020年現在約300億円の市場規模にまで成長しています。
Electric(電動化)は化石燃料から電気へ自動車の動力源を移行することとなります。
MaaSはCASEの「Shared & Services(シェア・サービス)」の分野をより進化させた考え方と言えるでしょう。しかし、コネクテッド化、自動化もMaaSの上位レベルを実現するには欠かせない技術です。
MaaSを導入するメリット5選
MaaSを導入することで実現するメリットは以下です。
- 予測機能による都心の交通混雑緩和
- 自動運転による公共交通活性化
- エネルギーマネジメントで環境汚染対策
- AIレコメンド機能による観光への波及効果
- 物流効率化
それぞれのメリットについて説明します。
予測機能による都心の交通混雑緩和
MaaSの進展により以下の状況が実現し、公共交通機関の利用促進に伴い交通渋滞の緩和が期待されます。
- 複数の公共交通機関のシームレスな利用
- カーシェアリング・ライドシェアリングの浸透
- タクシーやレンタカーのサブスクリプション化
- AIによる自動運転車両の増加が進めば、
実際、フィンランドではMaaSの進展により、都心部の公共交通機関の利用は増加し、自家用車の利用は低下しました。
シームレスな利用を加速するには、既存の公共交通機関の運行データの統合だけでなく、AIによるビッグデータ分析やオンデマンドによる自動運転が不可欠です。
自動運転による公共交通活性化
MaaSとAIによるオンデマンド交通の発達により、効率的な公共交通の運用やオンデマンド車両の運行、自動運転による移送が可能となるでしょう。日本における都会と地方の公共交通網の格差は拡大しています。地方公共交通の運行本数はここ30年で鉄道は約80%、バスは約54%まで減少しています。地方は、今後、さらに過疎化、高齢化が進展するでしょう。
MaaSにより交通情報が統合され、加えてAIによるオンデマンド交通の運用により、乗合バスやタクシーの効率活用が可能となるでしょう。結果として、地方でも免許返納者など交通弱者に対する対策、移動の活性化につながります。
関連記事:「タクシー業界でのAI活用法!導入メリット・注意点・企業実例を徹底解説」
エネルギーマネジメントで環境汚染対策
MaaSが浸透することで、公共交通機関やカーシェアリングの利用がより広く普及します。普及に伴い、自家用車の利用が減少し、自動車排出ガスの削減につながるでしょう。
また、AIの運行データの収集分析により、車両の効率的な運行、省エネルギー化が進められることも期待されています。
AIレコメンド機能による観光への波及効果
MaaSは、公共交通機関の検索、予約、決済のワンストップにとどまりません。人々の移動の目的には、観光も含まれます。観光型MaaSについてはこちらの記事で解説していますので併せてご覧ください。
MaaSアプリにAIのレコメンド機能を搭載することで、以下のような情報を加味したパーソナライズされた最適観光ルート、ランチや観光スポットの提案も可能となるでしょう。
- 個人の当日の体調の変化
- リアルタイムの好み
- 天候
- 混雑状況
観光地間をつなぐバス、タクシー、レンタカーを、AIが個々の好みに合わせて最適な配車を決定したり、AIによる自動運転車の運行も期待されます。
関連記事:「バス業界はAIでどう変わる?解決課題・活用メリット・企業事例を徹底解説!」
物流効率化
物流の分野でもMaaSは、変化をもたらします。AIを用いたビッグデータの総合的な分析を通じて、リアルタイムに天候、渋滞状況などを管理できます。また、最適な車両ルートの提案、配送状況の一元管理を通じて、最適な混載など効率的な物流をAIが実現可能です。
最適な物流が実現することで、日本全体の6.2%を占める貨物自動車のCO2排出量の削減効果も期待できます。また、国土交通省による調査によると、2019年、日本の約70%の企業がトラックドライバーの不足と回答しています。
生産労働力人口が今後下がり続ける中、MaaSによる物流効率化、AIによる自動運転車両の実現により、ドライバーの労働者不足の解消など社会問題への解決にも繋がります。
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MaaS導入事例
MaaSを実社会で実現しているフィンランドとドイツの実例を紹介します。
MaaSの草分け「Whim」(フィンランド)
「Whim」は、世界で始めてMaaSが実現したアプリとして有名です。「MaaS Global」社がサービスを提供しています。このサービスは、2016年に首都ヘルシンキで始まりました。「Whim」を利用することで、サービス地域内の鉄道、バス、タクシーからカーシェアリング、レンタサイクルまであらゆる移動サービスの検索、予約、決済が可能となっています。
また、サブスクリプション制を設けており、月額料金が定額(3つの料金プラン)で全ての交通サービスを利用できます。
「Whim」による公共交通機関へのシフトのインパクトは大きく、アプリ利用者の自家用車利用率は半減、公共交通機関の利用率は50%から74%へ増加となっています。また、タクシーやレンタカーの利用率も増加してしています。
ダイムラー主導のMaaS「Moovel」(ドイツ)
「Moovel」は、世界で500万人を超える利用者を持つMaaSのプラットフォームアプリです。ダイムラー社の子会社、Moovel社の提供する統合モビリティサービスとなります。
「Moovel」アプリのみで、公共交通機関、タクシー、カーシェアリングの検索、予約、決済まで利用ができます。現在、ドイツ国内ではハンブルグ、カールスルーエなどの都市で利用されており、ドイツ国外では、アメリカ、オーストラリアの一部の都市で、同アプリを用いて、公共交通機関の検索、予約、決済が進んでいます。
MaaSについてよくある質問まとめ
- MaaSとは何ですか?
MaaS(Mobility as a Service)とは以下の通りです。
- 複数の交通手段を一つのサービスとして統合する新しい移動の概念
- 検索、予約、決済を一つのプラットフォームで行うことができる
- MaaSはどのようなメリットがありますか?
MaaSのメリットは以下の通りです。
- 都心の交通混雑緩和
- 公共交通の活性化
- 環境汚染対策
- 観光産業への波及効果
- 物流効率化
- MaaSにおけるAIの役割は何ですか?
MaaSにおけるAIの役割は以下の通りです。
- 交通需要の予測と最適化
- オンデマンド交通の運用
- 自動運転技術の実現
- パーソナライズされた観光ルートのレコメンド
- 物流の効率化(最適ルート提案、配送状況管理)
まとめ
日本のMaaSは、現状レベル1の状況となっています。そして、国土交通省が産官学を挙げて強力に推進しています。MaaSは、交通に留まらず物流、観光、医療、福祉そして決済分野まで幅広い事業分野にまたがっています。MaaSで新しい事業展開やサービス導入を検討する企業がますます増えています。
MaaSの進展のため、必要不可欠な要素が、AIシステムの進化と自動運転の実現です。「MaaSアプリのこんなところにAI機能が使われているの?」と驚く技術開発が日々行われています。もしかすると、明日のMaaSを劇的に変える技術が、あなたの会社のライブラリーに眠っているかもしれないのです。
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