今治市とBEMAC、気象庁データとAIを活用した「AI治水監視システム」を共同開発
最終更新日:2025年02月26日

2025年2月25日、BEMAC株式会社と今治市は、気象庁の降雨予測と過去の水位データをAIが解析して1時間後の水位を予測する「AI治水監視システム」を共同開発したことを発表した。このシステムは24時間365日稼働し、水位上昇を自動監視して関係者に通知することで、近年増加する記録的短時間豪雨による水害対策の効率化と初動の迅速化を実現する。
- 気象庁データと過去の水位データをAIが解析し、1時間後の水位を予測することで治水対策の初動を早期化する新システムを開発
- 今治市とBEMACが共同開発したAI治水監視システムは24時間365日稼働し、深夜や天候急変時も自動で水位監視と関係者への通知を実施
- 愛媛県内自治体初のAI本格導入となる本システムは、今後データ蓄積によりさらに精度向上と適用エリア拡大を目指す方針
近年の気候変動に伴い、記録的短時間豪雨による水害が増加している。これらの豪雨は河川や水路の急激な水位上昇や冠水被害を引き起こすが、従来の対応体制では初動が遅れ、被害拡大につながるケースが問題となっていた。
さらに、防災を担う自治体では担い手不足や高齢化、技能承継の課題に直面しており、効率的な防災体制の構築が急務となっていた。こうした背景から、BEMAC株式会社とグループ会社のFutureRays株式会社は、BEMACの本社がある今治市と共同で、AI技術を活用した新たな治水監視システムの開発に取り組んだ。
開発されたAI治水監視システムは、気象庁から提供される降雨予測データと過去の水位データをAIが解析することで、1時間後の水位を予測する機能を持つ。システムは24時間365日体制で対象地域の水位を監視し、深夜帯や天候の急変時においても、1時間後に注意・警戒水位に達する可能性がある場合には、自動的に関係者へ通知を行う。これにより、治水対策の負担軽減と効率向上を図るとともに、初動への準備期間を確保することが可能になる。愛媛県内の自治体における治水監視へのAIの本格導入は、今治市が初めてのケースとなる。
今治市の徳永繁樹市長は「AI予測機能の導入により、1時間早く初動開始が可能となり業務のリードタイムを確保することができる」と導入の意義を強調している。また、BEMAC株式会社の小田雅人代表取締役社長は「海洋プラント事業で培ったAI、ビッグデータの活用を地元今治市の防災システムに導入できた」と述べ、技術の応用展開に期待を示した。
今後はデータの蓄積やAI予測モデルの改良により予測精度を向上させながら、適用エリアを拡大していく方針だ。さらに、将来的にはAI機能を用いた事前放流や事前排水への活用など、防災業務のさらなる強化も視野に入れている。
AI Market の見解
このAI治水監視システムは、自治体が直面する防災人材不足という社会課題に対し、AI技術で解決策を提供する好例だ。技術的には、気象データと過去の水位データを組み合わせた予測モデルの構築が特徴で、従来の経験則に頼った判断から、データ駆動型の客観的判断への転換を実現している点が重要である。
また、海洋分野で培った技術を陸上の防災に応用するクロスドメイン的アプローチは、企業が持つAI技術の新たな活用モデルを示している。ビジネス面では、地域企業と自治体の協業による社会課題解決型のAI開発として、今後の公民連携のモデルケースとなる可能性がある。今後、気候変動に伴う異常気象の増加が予想される中、このようなAIを活用した予測型防災システムの市場は急速に拡大し、全国の自治体への展開が期待される。
参照元:PR TIMES

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