NEC、国内企業としては最大規模のAIスパコンを構築。AI技術の社会実装加速を目指して稼働開始へ
最終更新日:2024年05月22日
NEC(日本電気株式会社)は、2023年3月20日、国内企業としては最大規模となるAIスパコン(AI研究用スーパーコンピュータ)の構築を完了したと発表した。
このコンピュータは、VIDIA A100 TensorコアGPUを928基搭載し、世界トップレベルのAI研究開発能力を持つものだ。同社はこのAIスパコンの稼働を同年3月28日より開始し、先進AI技術群の社会実装を加速する。
<本ニュースの10秒要約>
- 半世紀前よりAIの技術開発を手がけてきたNEC、急拡大したAIニーズに対応すべくスパコンを開発
- AI開発で必須となる学習プロセスを効率化し、AI構築時間を劇的に短縮できる超高速計算システム
- 数千万枚の画像も数分間で学習することが可能。社会全体の精緻なデジタルツインの実現を目指す
AI構築の時間を劇的に短縮できる超高速計算システム
NECは、半世紀前よりAIの技術開発を手がけてきた経緯を持つ。この取り組みの中で同社は、世界最高水準の生体認証技術をはじめ、画像・映像認識やデータ分析・言語モデル、また制御技術といった様々な先進AI技術を蓄積。現在も数百名の研究者がAI研究を行っており、機械学習における難関学会の論文採択ランキングでも企業として世界8位をマークしている。
こうしたAI研究を手がける一方で同社は、研究者の頭脳だけに頼ったアプローチではAI開発に限界があると考えるようになった。特に、AI開発で必須となる学習プロセスに要する時間が、ここ数年で急拡大したAIニーズへの対応において障壁になると判断。この学習プロセスを効率化し、AI構築の時間を劇的に短縮できる
超高速計算システムとして、AIスパコンを開発するに至った。
数百名のAI研究者が利用可能なコンピュータを実現
NECにおけるAIスパコンの開発は、2022年5月より開始された。開発に際して同社は、数百名のAI研究者が利用可能なコンピュータの実現を目指し、数十億円の予算を投下。国内企業として最大規模の計算能力を持つシステムの設計・構築に挑んだ。
このAIスパコンは、100台以上の最新GPUサーバーとストレージアプライアンスで構成される。サーバーは、ハイエンドGPU「NVIDIA A100 80GB Tensor コア GPU」を1ノード当たり8基搭載。ストレージアプライアンスは、16PB超のEXAScaler高性能並列ファイルシステムを搭載している。
AIスパコンの処理性能は、理論上では580 PFLOPS超となり、数千万枚の画像も数分間で学習することが可能だ。また、ネットワークにおいて超高速・低遅延の通信を図ることで、分散学習の高速化も実現している。
AI研究のセンター・オブ・エクセレンスを実現
このAIスパコンによりNECは今後、未来の予兆まで検知できる社会全体の精緻なデジタルツインの実現を目指す。このデジタルツインによって同社は、社会全体の最適化も推進。全人類を識別可能な生体認証デジタル決済や、都市全体を常時制御する交通管制、また人/産業/都市の複雑系全体を最適化するカーボンニュートラルなどの実現も図るとしている。
NECは今後も、AIスパコンの活用を通じて社会価値の創出を加速し、AI研究のセンター・オブ・エクセレンスを実現するとしている。
参照元:PRTIMES
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