日清製粉ウェルナ、株式会社グリッドと共同で冷凍食品の需給管理自動化システムの運用開始
最終更新日:2025年02月05日

日清製粉ウェルナは2025年2月4日、株式会社グリッドと共同で、AIを活用した冷凍食品の需給管理自動化システムの運用を2024年10月から開始した。
約1800パターンに及ぶ複雑な計画予測を大幅に効率化し、業務時間の削減と安定した製品供給を実現する画期的なシステムとして注目を集めている。製造業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の新たな可能性を示す先進的な取り組みとして、業界内外から高い関心を寄せられている。
<本ニュースの10秒要約>
- AIによる冷凍食品の需給計画と在庫転送計画の自動立案
- 計画策定時間の大幅な短縮と業務効率の向上
- 人間の柔軟な判断を可能にする半自動化システム
システム開発の背景と目的
日清製粉ウェルナの冷凍食品生産における需給管理は、従来、専門担当者が手作業で約1800パターンもの複雑な計画予測を行っていた。この膨大な作業負担は、担当者に大きな精神的・身体的ストレスを与えるだけでなく、属人的な業務プロセスによるリスクも内包していた。例えば、担当者の急な欠勤や異動時に、蓄積されたノウハウや暗黙知が途切れてしまう可能性があった。
こうした課題を根本的に解決するため、同社は株式会社グリッドとの協業を通じて、AIテクノロジーを活用した革新的な需給管理システムの開発に着手した。単なる業務効率化だけでなく、長年培ってきた企業の専門的なノウハウをデジタル化し、持続可能な生産管理体制を構築することを最大の目的とした。
需給管理自動化システムの特長
本システムの最大の特徴は、過去の出荷・受注実績を精緻に分析し、月次の販売数量を高精度に予測する能力である。具体的には、過去のデータから季節変動や市場トレンドを学習し、現在の在庫数や工場の稼働スケジュールと連携して、最適な需給計画を自動策定する。
これまで3日程度を要していた計画策定時間が、わずか1日に短縮された。さらに、日々の在庫転送明細の作成時間も約2時間から45分へと大幅に削減。月間で約50時間の業務時間削減を実現した。特に注目すべきは、どの製品を、どの倉庫からどの倉庫へ、何ケース転送するかを瞬時に自動計算できる点である。倉庫間の在庫移動を最適化することで、より効率的で安定した製品供給を可能にしている。
柔軟性を重視したシステム設計
AIシステムの導入において最も懸念されるのは、突発的な事象への対応力である。本システムは、この課題に対して独自のアプローチを採用した。完全自動化ではなく、担当者が使い慣れた形式で計画を出力し、必要に応じて人間が修正できる仕組みを組み込んでいる。
例えば、急な需要の変動や天候、物流状況の変化などのイレギュラーな事象に対しても、人間の判断を介在させることで柔軟に対応できる。このハイブリッドアプローチは、AIの高速処理能力と人間の創造的な問題解決能力を最大限に活用する、バランスの取れたシステム設計として高く評価できる。
AI Marketの見解
本システムは、AIと人間の協働による業務革新の優れた事例として、製造業におけるデジタルトランスフォーメーションの新たな可能性を示している。単なる自動化ツールではなく、企業の長年の知見とAIテクノロジーを融合させた戦略的なアプローチが特に注目される。
従来の属人的な業務プロセスをデジタル化しながら、同時に人間の判断の余地を残すという柔軟な設計は、多くの企業が模索するAI導入の理想形に近いといえるだろう。今後、製造業のみならず、複雑な計画立案を必要とする他の産業においても、本システムのアプローチは大きな示唆を与えるものと期待される。
参照元:PR TIMES

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