PKSHAのAI、トランコムの求貨求車サービスに導入。10%のマッチングロス削減を実現
最終更新日:2024年02月16日
株式会社PKSHA Technologyは、2022年11月7日、同社のAIがトランコム株式会社の輸送マッチング事業に導入されたと発表した。
PKSHAは、AIソリューションの開発やAI SaaSの提供を手がける企業だ。同社が今回提供したのは予測・最適化技術を活用したアルゴリズムであり、トランコムの求貨求車サービスにおいてマッチング可能性をスコア化し、荷請け判断の支援を実現している。
目次
<本ニュースの10秒要約>
- 対象貨物とマッチングできる空車が見つかる可能性をスコア化するアルゴリズムを開発
- AIと人の知識・経験が補完関係となり、荷請け判断の最適化とマッチングロスの削減を実現
- AIの活用スキル向上とAIの精度向上の好循環を形成、物流プロセスのデジタル化を推進
AIソリューションのPKSHAと、総合物流企業のトランコム
PKSHAは、自社開発した機械学習/ディープラーニング領域のアルゴリズムを用いる形で、顧客の課題に対応したAIソリューションを提供している。また、共通課題を解決するAI SaaSの展開を通じて、日本のDX推進も多面的に支援。人とソフトウエアが共に進化する豊かな社会の実現を目指している。
同社が今回AIを提供したトランコムは、最適な物流システムの構築・提案・運営を行う総合物流企業だ。アイデアとテクノロジーを組み合わせる形で「はこぶ」システムの創造に取り組んでおり、貨物と空車のトラックをマッチングする求貨求車サービスなども手がけている。
求貨求車サービスにおける初のAI導入を決定
今回トランコムに導入されたAIは、求貨求車サービスにおけるマッチングロス削減を目的として開発された。
トランコムの求貨求車サービスは中長距離の幹線輸送を強みとしており、「荷姿」「荷物の固定方法」「積み降ろし場所のルール」といった輸送条件は宅配よりも多用になる。そのため、これまでは自動マッチングは困難であり、「アジャスター」と呼ばれる営業スタッフが荷請け判断を行う必要があった。
しかし、人手による荷請け判断では一定の属人性が伴うため、マッチングロスの発生が避けられない。この課題解消にあたりトランコムは、求貨求車サービスにおける初のAI導入を決定。アルゴリズムの開発をPKSHAに要請した。
空車が見つかる可能性を予測し、100点満点でスコア化
求貨求車サービスのためにPKSHAが開発したアルゴリズムは、対象貨物とマッチングできる空車が見つかる可能性を予測し、100点満点でスコア化するというものだ。アルゴリズムの構築に際しては、数千万におよぶ過去のマッチング実績に加えて、過去数年の貨物・空車の需給傾向をデータとして活用。「予想空車量」「ルートの良し悪し」「過去実績の豊富さ」という3つの観点でスコアの根拠も提示し、ブラックボックス化を避けつつアジャスターのスコア活用を支援する。
本アルゴリズムは、検証時の試算において10%(約1万個/年)のマッチングロス削減が可能であることがわかった。トランコムは、このAIとアジャスターの知識・経験が補完関係となることで、荷請け判断の最適化およびマッチングロスの削減がより推進できると期待している。
「人と共進化する未来のソフトウエア」の社会実装を推進
PKSHAが今回開発したアルゴリズムは、2022年10月よりトランコムの全国拠点に導入されている。今後、継続的に運用することでアジャスターのAI活用スキルが上がり、並行してAIの精度も向上する好循環の形成を、PKSHAは期待。また、物流プロセスのデジタル化を通じて、アジャスターやドライバーをはじめとする業界で働く人々や顧客体験の向上も目指すとしている。
PKSHAは今後も、「人と共進化する未来のソフトウエア」の社会実装を推進し、様々な業界・団体の生産性向上を支援するとしている。
参照元:PRTIMES
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