AI防災とは?メリット・具体的な活用方法と事例6選を解説
最終更新日:2024年11月12日
日本は世界的に見ても災害の発生件数が多い国です。自然災害は人間の手では防ぐことはできないため、防災対策を実施する必要があります。近年、AIを活用したAI防災が注目を集めています。
AI防災を活用することで、地震や津波発生前の注意報発表や精密な被害予測が可能です。
今回は、AI防災とは何なのか、活用するメリットや活用方法・具体的な事例6選を解説していきますので、ぜひご参考ください。
AI Marketでは
自治体・官公庁でのChatGPTの導入・開発事例についてはこちらの記事で特集していますので併せてご覧ください。
目次
AI防災とは?
AI防災とは、AI技術を利用して災害に備えることを指します。例えば、地震や津波発生後すぐに注意警報を出せるのも、AIがこれまでの災害を比較・シミュレーションしているからです。
また、地震発生時にAIが震源地と震度を計測することで、その地震による想定被害を算出しています。災害発生後に具体的な状況をAIによって知らせてくれる点は、二次災害を減らしてくれる要素として捉えてよいでしょう。
Society5.0の実現
日本政府はサイバー空間とリアルを融合させて、経済発展と社会的課題解決を両立させる「Society5.0」の実現を目指しています。Society5.0における災害対策としては、人工衛星やドローン・AI技術を活用して、災害発生時でも建物から安全に逃げられる避難経路の確保や迅速な救助対応ができるよう計画しています。
Society5.0を実現するためには、AIの活用が必要不可欠です。土地や建物の状況・これまでの災害内容などのビッグデータをAIに解析させることで、防災対策に役立てていきます。
防災にAIを活用するメリット
ここでは、防災にAIを活用するメリットを3つ解説します。
二次災害を防止できる
防災にAIを活用することで、災害発生速報やリアルタイムの被害状況を伝えられるため二次災害の防止が可能です。例えば、株式会社富士通研究所は複数の大学と共同で、AIを活用した津波の予測・対策技術のプログラムを進めています。
日本の地形は複雑であるため、エリアによって津波によるリスク・予測難易度が異なります。プログラムを進めていくことで、具体的な対策方法の立案や地域ごとのカスタマイズが可能になると試算されています。
津波発生前にリスクのある地域住民に伝えることができれば、生存者率を高めることが可能です。また、早めに伝えて行動してもらうことで、二次被害を防止できるでしょう。
24時間365日窓口対応が可能
AIを活用したチャットボットを地方自治体に導入することで、24時間365日窓口による受付が可能です。多くの自治体は窓口受付の時間が決められており、土日・祝日は基本的に受け付けていません。
しかし、自然災害は時間に関係なく襲ってくるため、地域住民を安心させるためにはやはり自治体の対応が必要となります。自治体からの通知がなければ、住民はどのように対応すればいいのかわからず、パニックに陥ってしまう可能性があります。
このような場合、AIを活用したチャットボットを導入することで、Web上で住民が知りたい情報をすぐに提供できます。例えば、「避難場所の位置」や「災害が発生している場所・被害状況」など、具体的な情報をいつでもどこからでも届けられます。
重要情報だけでも住民に届けることができれば、災害によるパニックや被害を大幅に減らすことができるでしょう。
迅速な安全確保
災害発生時は緊急事態となるため、住民の迅速な安全確保が求められます。AIによるビッグデータ活用を実行することで、災害時でも最適な避難経路の案内が可能です。
AIが被害状況をスマートフォンに共有することで、安全なルートを導き出し、案内してもらうこともできます。また、避難経路の誘導と同時に避難場所も指定してくれるため、スムーズに避難を完了させられます。防災にAIを活用することで、迅速な安全確保・情報共有を実施できるでしょう。
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AI防災の具体的な活用方法
AI防災は様々な自然災害の現場で活用されています。続いては、AI防災の具体的な活用方法を3つ解説します。
自然災害の事前予測
これまで、発生した災害の情報を活用した事前予測は難しいとされていました。しかし、シミュレーション技術とAIを活用することで自然災害の事前予測を可能にしています。
現状の技術では、完全な自然災害の予測は実施できませんが、過去に発生した自然災害に関するビッグデータをAIに読み込ませて、分析することで集中的な自然災害の観測を成功させています。
また、シミュレーション技術とAIの研究開発を進めることで、具体的な災害発生地域・規模予測も実現できます。事前に自然災害の発生状況を把握することで、効率的な避難準備・対応を可能にするでしょう。
災害発生時の情報収集
災害発生時の情報収集手段としてもAIは活用されています。従来までは、避難エリアに赴いたり、人の目で災害に関する情報を集めていました。しかし、AIに情報収集機能を付帯することで、リアルタイムの情報を被災者に届けることが可能です。
特に大規模災害が発生した際は、SNSを利用して情報を得ている人が多く、SNSが情報発信ツールとして注目されています。例えば、ユニバーサルコミュニケーション研究所はAIでTwitter上の災害に関する投稿をまとめて、対象エリアに対して発信するシステムを試験的に公開しています。
また、地方自治体も災害対策AIチャットボットの導入を進めており、窓口に出向くことなくテキストベースで情報を獲得可能です。このように、人手不足も懸念される災害現場でも、AIを活用することで迅速に情報収集できるでしょう。
他にも、ドローンを活用して、危険な災害現場に実際に人が足を運ばなくても、ドローンに搭載された画像認識AIによって、リアルタイムでの災害状況を把握することなども可能です。
被災者とのコミュニケーション
災害が発生した際、現場にいるのは日本人だけではありません。台湾や中国・アメリカなど、様々な国の人が滞在しています。特に外国人観光客は日本語が喋れない前提で日本に来ていることも多いため、災害発生時などの余裕がないシーンでは、言語が通じないことでコミュニケーションが取れず逃げ遅れる可能性があります。
そのため、AIを活用した翻訳サービスが活用されています。特にスマートフォンにインストールするだけで利用できる翻訳アプリなども登場しており、手軽に利用できることも多いです。外国人観光客の多い日本にとっては、翻訳アプリで被災者とコミュニケーションを取れるようになることで、円滑な避難指示が可能になります。
AI防災の技術を活用した事例6選
AI防災には様々な種類が存在するため、選択する際は実際の事例を確認してから判断が必要です。ここでは、AI防災の技術を活用した事例を6つ解説します。
香川県高松市の事例
香川県高松市では、「スマートシティたかまつ」と呼ばれるAI技術を活用して、水位や潮位に関する情報を分析しています。水上にAIを搭載したIoTセンサーを設置し、リアルタイムに監視することで、精密な分析を可能にしています。様々なデータを収集できるIoTセンサーの種類、他の導入事例はこちらの記事で分かりやすく解説しています。
常に水上の状況を監視しているため、地底からの微弱な振動も検知して、地震予測が可能です。また、試験的にスマートフォンアプリの開発も実施しており、GPS上でリアルタイムの被害状況を確認できるシステムも提供しています。
応用地質株式会社の事例
応用地質株式会社は自治体向けに災害対策情報提供システムを開発しています。このシステムでは、町の監視カメラと河川の動き、被害状況をAIと連携することで、災害時でも適切な避難指示・情報提供が可能です。
また、日頃から人や車の動きをモニタリングさせることで、より具体的な避難指示を可能にしています。
緊急時でもカメラによる監視は続けているため、逃げ遅れた住民の確認やリアルタイムの避難誘導を行えます。これにより、自治体側も逃げ遅れた住民の救出や救助隊との連携が可能です。
ウェザーニュースの事例
株式会社ウェザーニュースでは、自社衛生情報を元にエリアごとの降水分布を可視化するシステムを開発しています。例えば、大阪の中でも梅田駅と心斎橋駅の雨雲を見分けて、駅ごとの雨雲レーダーを作成可能です。
この機能を応用して、日本中心の衛星画像と雨雲レーダーを照らし合わせて、気象予報精度の低いエリアでも降水情報を確認できます。台風が上陸する前から、細かい降水予想を立てて、避難誘導が可能です。
NTTの事例
NTTでは、自然災害でケーブルが断線した場合でも、早期復旧できるようにAIが被災状況を予測するシステムを開発。災害対応業務を迅速に行えるよう、災害シーンやタイムライン用途に合わせて情報共有を実行します。
また、AIに被害状況を認識させることで、復旧までにかかる時間や必要な資材・食糧の数まで把握可能です。これまで甚大な被害が発生した自然災害でも、同システムを利用することで早期復旧を実現できます。
LINEの事例
LINE株式会社とAI防災協議会は、LINE公式アカウントを通じて、ユーザーごとにカスタマイズした被害状況を届けられるシステムを開発しています。
チャットボットに質問・回答するだけで、被害状況の共有や最寄りの避難先を地図で提案してくれます。現在地をもとに避難予定の警戒レベルを知らせてくれるため、自身に合わせた避難情報を確認可能です。
リアルタイムに避難状況と次の行動を示してくれるため、混雑する緊急事態でもスムーズに避難を完了させられます。
Twitterを利用した事例
株式会社Specteeが開発・提供するSNSリアルタイム緊急情報配信サービスSpecteeでは、SNSから災害情報を瞬時に抽出して、AI解析を実行することで災害時の正確な状況把握が可能です。
災害発生時にTwitter上にアップされる災害関連情報等の緊急性の高い情報をリアルタイムに抽出し配信します。発生現場にいる人からのリアルな情報や写真・映像などを把握することで、災害の状況を瞬時に判断・配信して具体策を提供します。
AI防災についてよくある質問まとめ
- AI防災とは何ですか?
AI防災とは以下の通りです。
- AI技術を利用して災害に備える取り組み
- 地震や津波の予測、被害状況の把握などに活用
- AI防災にはどのようなメリットがありますか?
AI防災のメリットは以下の通りです。
- 二次災害の防止
- 24時間365日の窓口対応
- 迅速な安全確保と避難誘導
- AI防災の具体的な活用方法にはどのようなものがありますか?
AI防災の主な活用方法は以下の通りです。
- 自然災害の事前予測
- 災害発生時の情報収集
- 被災者とのコミュニケーション
AIの導入に関する依頼はAI Marketへ
これから起こりうる自然災害の被害を最小限に抑えるため、AI防災に関する技術は年々進化しています。AI防災を導入することで、万が一の事態が発生したとしても、スムーズに従業員を避難させられます。
しかし、実際にAI開発を進めていきたいと考えても、どの会社に依頼すればよいかわからない、ということもあるかもしれません。
AI Marketでは、AI開発会社の選定サポートや最適な開発会社紹介を行っています。AI開発会社の選定に迷ったり、依頼方法がわからなかったら、AI Marketの専門のコンサルタントが最適な開発会社の選定を無料でサポートしますので、いつでもお気軽にご相談ください。
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