ACP(Agent Communication Protocol)はA2Aとの統合でどうなる?技術的特徴・注意点を徹底紹介!
最終更新日:2025年11月25日

- ACPは、異なるフレームワークや環境で開発されたAIエージェント同士がHTTP/RESTベースで相互運用するためのオープンプロトコル
- ツール接続に特化した「MCP」とは役割が異なり、ACPはエージェント間連携を担う
- 今後はGoogle主導の「A2A」規格へ統合され、業界標準となる見込み
AIエージェントの活用が進む中で、多くの企業や開発チームが直面しているのがエージェント間の連携・通信の難しさです。
「異なるベンダーや言語で作られたAI同士をどう接続するのか?」「APIの仕様乱立でメンテナンスコストが肥大化しないか?」その解決策となるのが、AIエージェントのための通信規格「ACP(Agent Communication Protocol)」および、その統合先として注目される「A2A(Agent-to-Agent)」です。
本記事では、AI同士をつなぐ標準プロトコルであるACPの概要と技術的特徴、話題の「MCP(Model Context Protocol)」との決定的な違いについて解説します。
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ACP(Agent Communication Protocol)とは?


ACP(Agent Communication Protocol)とは、AIエージェントが相互運用するためのオープンプロトコルです。異なるフレームワークや環境で構築されたAIエージェント同士を連携・協調させるためのいわば共通言語のような存在です。
Linux FoundationやIBM Researchが、マルチエージェントシステム時代のオープンスタンダードとして開発を進めています。
AIエージェント同士で協調作業を行わせたい場合や、呼び出したい場合に使用します。例えば、LangChainとCrewAI間など異なるフレームワークで構築されたエージェントでも、内部実装に依存せず、情報のやり取りや複数ターンの対話をシームレスに行えます。
MCP(Model Context Protocol)との違い
Anthropic社が発表したMCP(Model Context Protocol)とは、ClaudeやGPT(ChatGPT)などのAIモデルを外部システムに接続するためのオープンソース標準です。MCPを使用すると、生成AIアプリケーションは、データベースやツール、ワークフローに接続し、重要な情報にアクセス・タスクを実行できます。
以下が、MCPとACPの主な違いです。
| 比較項目 | MCP(Model Context Protocol) | ACP(Agent Communication Protocol) |
|---|---|---|
| 目的 | AIアプリケーションを外部のデータソースやツールに接続し、情報アクセスやタスク実行を可能にする | 複数のエージェント同士を連携・協調させ、対話的かつマルチターンでのタスク遂行を可能にする |
| 接続対象 | AIモデルと外部システム・ツール・データベース | AIエージェントとAIエージェント |
| 主な利用例 | AIモデルが検索エンジンやローカルファイルなどにアクセスして情報を取得・加工 | 異なるフレームワークや実装基盤上のエージェント間での情報共有・共同処理 |
| 通信方式 | モデルと外部ツール間のリクエスト・レスポンス型通信 | RESTful APIを介した双方向・継続的通信 |
MCPはAIモデルと外部ツールをつなぐためのプロトコル、一方でACPはAIエージェント同士をつなぐためのプロトコルです。
A2Aに継承され統合される予定
IBM主導の「ACP」とは別に、Googleが2025年に発表した「A2A(Agent2Agent Protocol)」という強力なライバル規格が存在していました。
- ACP (IBM主導): ローカル環境やエッジでの軽量な動作に強み。
- A2A (Google主導): クラウドベースの大規模連携やリッチな機能に強み。
しばらく「規格争い」の様相を呈していましたが、事態は急展開を迎えました。
ACPはA2Aへ技術とノウハウを統合し、Linux Foundationの下で一つの巨大な標準規格「A2A」に一本化される動きが進んでいます。
ACPは将来的に「A2A(Agent-to-Agent)」プロトコルに統合される予定です。A2Aは、エージェント同士の通信・連携をより包括的に扱う新しい規格であり、ACPの技術や設計思想の多くが継承されます。
ACPはレガシー技術として位置づけられつつも、その成果は次世代標準の一部として発展していく見込みです。
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ACPの技術的特徴


本章では、ACPの主な特徴を紹介します。A2A(Agent2Agent)への統合の流れを踏まえつつ、ACPというプロトコル自体が持つ技術的な設計思想(アーキテクチャ)に焦点を当てます。
HTTP/RESTベースの通信
ACPは、HTTP・RESTをベースとした標準的な通信方式を採用しています。
RESTはWeb APIの設計思想としても利用されており、HTTPも既存のWebシステムで一般的に使われる通信プロトコルです。人間でも可読可能なJSON形式でメッセージをやり取りします。
そのため、ACPを導入する際に、gRPCや独自RPCなどの新しい通信技術を学ぶ必要がなく、学習コストを抑えられます。
既存システムへの統合も容易で、既存のWebインフラやAPI設計と高い親和性を持つ点も魅力です。既存のファイアウォール、ロードバランサ、APIゲートウェイといったインフラ資産をそのまま流用可能です。
エージェント発見(Discovery)メカニズム
ACPの大きな特長の一つが、ネットワーク上に存在する他のエージェントを動的に見つける機能です。
ACPでは、「私は在庫管理エージェントで、在庫確認と発注処理が可能です」といった自己紹介(メタデータ)を登録・公開するディレクトリの仕組みがあります。
そのため、クライアント側のエージェントは、事前に相手のIPアドレスをハードコードする必要がありません。「在庫を確認したい」という意図(Intent)を投げれば、それに適したエージェントを自動的に探し出して接続します。
システムの結合度が下がるので、「A社の在庫管理AI」から「B社の在庫管理AI」にリプレイスしても、呼び出し側のコードを書き換える必要がなくなり、システムの柔軟性が劇的に向上します。
フレームワークや言語非依存・オープン仕様
ACPは、使用モデルやプログラミング言語、フレームワークなどエージェントの内部実装に依存せず、共通のインターフェースで通信を行えるように設計されています。そのため、BeeAIやLangChain、独自開発フレームワークなど、異なる環境で構築されたエージェント同士でも改修不要で相互連携が可能です。
技術スタックの違いによるサイロ化を防ぎ、異なる開発チームやシステム間でもシームレスな協働を実現します。
また、オープン仕様となっており、ベンダーロックインを回避できるのも特徴です。将来的にフレームワークやモデルを入れ替える場合でも、ACP準拠の設計を維持することで、最小限の変更でアップデートや置換が行えます。
非同期・同期通信対応
ACPは、タスクの性質や要件に応じて、非同期通信と同期通信を柔軟に使い分けられる設計を採用しています。そのため、リアルタイム性が必要なタスクから、時間のかかるタスクまで幅広く対応可能です。
特に、データ分析やレポート作成など複雑で時間のかかる処理では非同期通信が適しています。非同期通信ではバックグラウンドで実行し、完了時にコールバックで通知できるため、ユーザーの待機時間を削減できます。
一方、対話システムのように即時応答が必要な場面では低レイテンシを重視した同期通信が有効です。ユーザーとのインタラクティブなやり取りでも高い応答性能を発揮します。
また、ACPはHTTP経由のServer-Sent Events(SSE)を利用してストリーミング通信を実現しています。非同期処理の進行状況や部分的な結果を逐次送信でき、よりリッチでリアルタイムなエージェント間のやり取りが可能です。
マルチモーダルなメッセージ機能
ACPは、単なるテキストメッセージのやり取りにとどまらず、ファイル・画像・音声・動画などを含むマルチモーダル通信をサポートしています。そのため、エージェント同士はさまざまな情報を交換でき、実世界の多様なタスクに対応できます。
また、会話機能では以下2種類の運用モードを備えています。
- ステートフル通信:会話やタスクの進行状況を保持し、継続的な文脈理解や複数ターンの対話を実現
- ステートレス通信:単発のリクエスト・レスポンスに適した軽量設計で、迅速な処理に向く
それぞれのモードを柔軟に使い分けられるため、長時間にわたるタスク処理や複数ステップを要する分散エージェント連携にも対応可能です。
SDKのオプションサポート
ACPは、開発を効率化するために、オプションとしてSDKを提供しています。SDKを利用することで、API呼び出しの簡略化やエラーハンドリング、メッセージフォーマットの自動管理が可能になり、開発スピードを高められます。
また、HTTPリクエストを送信できる環境であれば、どの言語やツールからでも扱える点も特徴です。例えば、C#・Java・Goなどの一般的なプログラミング言語はもちろん、ノーコード・ローコードツールからでもHTTP経由で簡単にACP準拠のエージェントを呼び出せます。
さらには、curlやPostmanなどの標準的なHTTPクライアントから直接利用できるため、特別な開発環境やライブラリを導入する必要がありません。
このような仕組みから、ACPを活用すると既存システムとスムーズに接続でき、統合の導入障壁を低減します。
オフライン対応
ACPは、エージェントが一時的に停止していたりネットワークに接続されていない場合でも、通信に必要な検出・識別を行える設計になっています。メタデータベースによるエージェント検出機能を備えているため、オフライン状態でもエージェント同士は存在や役割、エンドポイント情報を把握できます。
そのため、ネットワーク遮断やメンテナンスによる一時停止時でもシステム全体の整合性を維持します。
ACP運用の注意点


本章では、ACP運用の注意点を紹介します。
セキュリティ・認証の設計
ACPは異なるエージェント同士が連携するためのプロトコルであるため、誰が・何をできるのかを明確に定義し、適切に管理する必要があります。
特に、重要なのが以下の2つです。
- 認証:通信相手が正当なエージェントであるか確認
- 認可:エージェントに特定のタスクやデータアクセスを許可してよいかを制御
ACPでは、OIDC(OpenID Connect)などの標準技術を用い、エージェント同士が互いの身元を証明し合います。また、権限設定をプロトコルレベルで定義できます。
例えば、このエージェントに顧客データ分析を任せてよいかや、設定変更できるのは管理エージェントのみかなどタスク単位での権限制御が可能です。
また、エージェント間でファイル・メディア・状態情報をやり取りする以上、通信の安全性とデータの整合性を確保する設計も不可欠です。
具体的に必要になる設計は、以下のとおりです。
- HTTPS/TLSによる通信の暗号化
- 署名・ハッシュによる改ざん防止
- 操作ログ・トレースの記録
これらを整備することで、悪意あるエージェントの侵入や誤動作を防ぎ、安全なマルチエージェント運用が実現できます。
運用負荷
ACPを活用したマルチエージェント環境では、多数のエージェントが同時に複数のタスクやワークフローを並行処理することが一般的です。
そのため、運用が進むにつれて通信量やメッセージ数、状態の管理コストが増大し、システム全体に負荷がかかります。
運用負荷を軽減するには、以下のような対策が必要です。
- エージェントごとの優先度設定やメッセージキューの最適化、負荷制御の実施
- どこに状態を保存するか、いつ切り替えるかのルール化などステート管理の設計
- 通信ログ・イベントログの収集と一元管理による可観測性の向上
- トレーシングや監視システムによるAIエージェントの異常検知・自動復旧体制の整備
ACP運用では通信負荷や状態管理の複雑化を見据えた設計・監視体制を構築することで、大規模なエージェントをスムーズに運用できます。
データガバナンス
ACPを利用したマルチエージェント環境では、複数のエージェントがデータやファイル、ログを相互に共有・転送します。そのため、データの扱いに関する明確なルールと管理体制の整備が不可欠です。
特に、以下の要素を明確に定義・管理する必要があります。
- データの所在管理:どのエージェントやシステムにデータが保存されているかを追跡できる状態にする
- アクセスログの記録と監査:どのエージェントがいつ、どのデータにアクセスしたかを可視化
- データ保持期間の設定:不要なデータを長期保管しないよう、ライフサイクルポリシーを明文化
- 削除・匿名化ポリシー:利用目的が終了したデータの安全な削除や匿名化を自動化
情報漏えいやコンプライアンス違反のリスクを回避するためにも、全エージェントが統一されたガバナンスルールに基づいて運用される体制を構築することが不可欠です。
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ACPについてよくある質問まとめ
- ACP(Agent Communication Protocol)とはどのようなプロトコルですか?
ACPは、異なる環境やフレームワークで開発されたAIエージェント同士が通信するためのオープン標準プロトコルです。主なポイントは以下の通りです。
- 目的: エージェント間の相互運用(インターオペラビリティ)を実現する。
- 仕組み: HTTP/RESTをベースとし、JSON形式でメッセージを交換する。
- 現状: Google主導の「A2A」プロトコルに統合される方向で標準化が進んでいる。
- 違い: AIモデルと外部ツールをつなぐ「MCP」とは異なり、ACPはエージェント同士の連携を担う。
- ACPとMCPはどちらを使えばいいですか?
外部ツールやデータベースと接続したい場合はMCP、複数エージェントを連携させたい場合はACPが適しています。
- ACPにはどのような技術的特徴がありますか?
既存のWeb技術との親和性が高く、導入障壁が低いのが特徴です。
- HTTP/RESTベース: 特別な通信技術が不要で、既存のWebインフラ(ファイアウォール等)を利用可能。
- エージェント発見(Discovery): ネットワーク上のエージェントを動的に検索・接続できるため、システムが疎結合になる。
- 柔軟な通信: タスクに応じて「同期通信(即時応答)」と「非同期通信(バックグラウンド処理)」を使い分けられる。
まとめ
ACPは、異なるフレームワークで構築されたエージェント同士をつなぎ、シームレスな連携と協調動作を実現するオープンプロトコルです。
HTTP/RESTベースの親和性や同期・非同期通信への対応、マルチモーダル通信など、実運用に必要な機能を幅広く備えています。
エージェント活用を高度化したい企業にとって、ACPの導入は今後ますます重要な選択肢となるでしょう。
しかし、セキュリティ設計や既存システムとの統合、どの業務領域からエージェント化すべきかの判断には高度な専門知識と戦略的な視点が求められます。貴社のシステム環境に合わせた最適なロードマップを策定するために、まずはAI導入の専門家に相談し、構想の壁打ちから始めてみてはいかがでしょうか。


AI Market 運営、BizTech株式会社 代表取締役|2021年にサービス提供を開始したAI Marketのコンサルタントとしても、お客様に寄り添いながら、お客様の課題ヒアリングや企業のご紹介を実施しています。これまでにLLM・RAGを始め、画像認識、データ分析等、1,000件を超える様々なAI導入相談に対応。AI Marketの記事では、AIに関する情報をわかりやすくお伝えしています。
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