大日本印刷とUltimatrust、自律走行搬送ロボットの経路を最適化するアルゴリズム／シミュレーターを開発

大日本印刷株式会社は、2023年6月23日、AMR（自律走行搬送ロボット）の経路を最適化するアルゴリズムおよびシミュレーターを、Ultimatrust株式会社と共に開発したと発表した。

このアルゴリズムおよびシミュレーターは、大日本印刷が開発した「DAS（DNPアニーリング・ソフトウェア）」を、Ultimatrustが展開するAI解析プラットフォーム「Wisbrain」に搭載することで実現したもの。AMRの最適経路を短時間で導くことで搬送時間を短縮すると共に、突発的に発生した障害物へのリアルタイム対応なども可能にしている。

＜本ニュースの10秒要約＞

• 大日本印刷の組合せ最適化ソフト「DAS」を、UltimatrustのAI解析プラットフォーム「Wisbrain」に搭載
• AMRの移動距離を約3分の2にまで短縮、「AMR同士の衝突回避」や障害物などへのリアルタイム対応も実現
• 物流／製造／飲食業界にて効果検証を実施予定、2023年度中にはAMRの経路最適化システムも開発へ

労働力不足により、使用範囲が拡大されるようになったAMR

日本国内では近年、サービスの多様化が進む一方で労働力不足が進行しており、その対応策として業務の一層の効率化が急務となっている。この動きの中でAMRの使用範囲も拡大が検討されるようになり、従来の工場や倉庫以外にも多様な現場への導入が図られるようになった。ロボットが得意とする作業をAMRに任せることで、人が担う仕事の幅がむしろ広がり、生産性が向上したケースも増えつつある。

AMRをめぐるこれらの動きに、大日本印刷株式会社も注目。同社は2021年、生産や人員計画の最適化などの「組合せ最適化問題」を高速で解くソフトウェアとして「DAS」を開発していた。この「DAS」は、物流／運送便の経路最適化や最適なセールス経路の決定などにも使用可能であるため、AMRの経路最適化にも活用が可能であると同社は判断。今回、Ultimatrustと共にアルゴリズムおよびシミュレーターの開発を行うに至った。

AMRの最適な移動経路を、短時間で計算することが可能

今回開発されたアルゴリズムは、Ultimatrustの「Wisbrain」に大日本印刷の「DAS」を搭載したものだ。同時に開発されたシミュレーターは、このアルゴリズムの導入効果の検証を目的としている。

Ultimatrustの「Wisbrain」は、設置した多様な情報機器から取得したデータを集約し、AIで高精度な解析を行うシステムだ。この「Wisbrain」に、「組合せ最適化問題」を高速で処理できる「DAS」を搭載することで、AMRの最適な移動経路を短時間で計算することが可能となった。

このアルゴリズムとシミュレーターを用いると、AMRの移動距離を従来手法と比べて約3分の2にまで短縮することができる。また、「AMR同士の衝突回避」や「現場全体での高効率なロボットの動作順序」といった条件を加味した形での経路算出も可能だ。カメラ／センサーからの情報を活用することで、突発的に発生した障害物などへのリアルタイム対応も実現。また、物流倉庫や製造工場といった現場に留まらず、飲食店など様々な環境に対応可能である点も、大きな特徴となっている。

ロボット導入による効果検証を、物流／製造／飲食業界にて実施予定

大日本印刷とUltimatrustは今回開発したアルゴリズムとシミュレーターについて、ロボットの稼働効率を高めたい企業／団体などにとって有効なものであると自負。今後は、PoC（Proof of Concept：概念実証）などロボット導入による効果検証を、物流／製造／飲食といった業界にて実施する予定だ。また、2023年度中にはこのアルゴリズムを用いたAMRの経路最適化システムを開発するとしている。

参照元：PRTIMES

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