ビッグデータとは?活用事例8選徹底解説!メリット・導入ステップ・解析方法も説明
最終更新日:2024年11月05日
「ビッグデータをビジネスに活用するメリットは?」
「どんな業界でビッグデータが活用されているの?」
「ビッグデータを自社で活用する方法とは?」
ビッグデータがビジネスを変える!ともてはやされたブーム期を超えて、ビッグデータは使われていることにさえ気づかないくらい確実に生活に入り込んでいます。事業でビッグデータを活用するための導入コストも下がり、今こそビッグデータをビジネスで活用するベストタイミングと言えるでしょう。
ビッグデータの活用で、事業の成否を左右する複雑な要素を高精度で分析するデータドリブン型経営で大きな成果を挙げている企業がますます増えています。
データドリブン経営のメリットと事例をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
本記事では、ビッグデータの8つの活用事例やメリット、導入方法を解説します。
AI Marketでは
ビッグデータの分析で実績豊富なAI開発会社を自力で選びたい方はこちらで特集していますので併せてご覧ください。
ビッグデータとは?
ビッグデータは、人間では効果的に扱うことができない膨大なデータを指します。以下の5つのVを備えているのが特徴です。
- Volume(量)
- Variety(多様性)
- Velocity(頻度)
- Veracity(正確性)
- Value(価値)
ビッグデータを扱えると、従来では重要性はわかっていても意味ある分析ができなかったデータを統計的に分析できます。高精度でのデータ分析や未来予測が可能になり、大きな成果をあげられる可能性が高まります。
近年AI(人工知能)の機能向上に伴い、低コストでビッグデータを扱えるようになり、さまざまなシーンで活用されるようになりました。
こちらで企業でのデータ分析の定義、手法、AIを活用する可能性を詳しく説明しています。
ビッグデータ活用事例8選
以下のような分野で盛んにビッグデータが活用されています。
1. コンビニ
2. 医療
3. 観光
4. 製造業
5. スポーツ
6. 自動車
7. 農業
8. 飲食店
活用事例を知ることで、ビッグデータを扱う際のイメージが付きやすくなります。ビッグデータの活用事例を詳しく解説します。
コンビニでビッグデータを活用して顧客満足度向上
コンビニで膨大な顧客データ、商品データ、売り上げデータなどのビッグデータを活用することで、ユーザーのニーズに合うサービスの提供が可能になり、顧客満足度向上が期待できます。具体的には、ビッグデータ活用と広告マーケティングや金融分野を掛け合わせて新たなビジネスの開発に取り組んでいます。
例えば、金曜日夕方に特定の顧客に対して「今夜はプレミアムビールで晩酌しませんか?」と言った広告メッセージと割引クーポンを送付する販促方法も可能です。EC(電子商取引)サイトで表示されるレコメンド機能を実店舗で実現できます。AIによるレコメンド(おすすめ)機能の仕組み、種類についてはこちらの記事で分かりやすく解説しています。
各コンビニチェーンでは、店舗のデジタル化を図りユーザーのニーズ、トレンドに合う支払方法を提供しています。デジタル化を進めることにより、デジタル決済をしたユーザーの情報を効率よくデータ収集でき、そこからニーズ調査が可能です。
また、集めたデータを可視化し、分析することにより、食品ロスやゴミの削減など環境問題の改善にも活かしています。
医療でビッグデータを活用した病気の予測・早期発見
医療分野では、現在までの診察や治療などのデータや論文を世界中から集めたビッグデータを活用することで、病気の予測や早期発見が見込めます。ビッグデータを分析することで、類似した症状を発症した患者が受診してきた場合の診断結果の精度が高まります。これにより、早期治療が必要な病気や未知の病気を適切に処置できるようになり、一人でも多くの命を救えるようになるでしょう。
また、ビッグデータとAIの画像分析技術を組み合わせることでレントゲンやMRIなどの画像診断の精度も高まります。より精度の高い医療を受けられるようになっています。
医療分野に強い開発会社はこちらの記事で特集していますのでご覧ください。
観光でビッグデータを活用した混雑予測
観光分野では、交通機関の混雑や道路渋滞により観光者が減ってしまい損害や機会損失が生じることがあります。そこで、天候や季節による混雑具合や交通情報などのビッグデータから混雑しやすい場所を分析して、混雑回避ルートを提案できるツールの開発ができるようになりました。
例えば、観光スポット付近で花火大会のイベントがあるとすると、渋滞や混雑が発生してしまいます。しかし、ビッグデータの分析データを活用すると、混雑回避ルートを提案可能です。渋滞や混雑に巻き込まれずに観光スポットへ足を運べるので、顧客の満足度が向上し、観光地での支出額アップを期待できます。このように、ストレスなく観光できるようになるため、ビッグデータを活用することは重要です。
製造業でビッグデータを活用した品質テストの最適化
半導体チップを作成するある製造業企業では、ビッグデータを活用することで必要な品質テストのみを抽出して、テスト実行回数を大幅に削減することにつなげています。半導体の製造では、不具合動作として観測できないものの確実に発生するであろう潜在故障の発見が課題となっていました。
潜在故障は直接的に観測できませんが各品質テストの結果には影響を及ぼしています。従来は、品質テストの種類と回数を増やして潜在故障に対応するしかありませんでした。しかし、ビッグデータの活用により必要なテストと不要なテストを明確に分けられるようになりました。
品質テストを最適化したことにより、製造ライン1つにかかるコスト削減も実現でき、結果的に業務効率化につながっているため、製造業でのビッグデータ活用は重要です。
製造業のサポートに強いおすすめ開発会社をこちらの記事で特集していますのでご覧ください。
スポーツでビッグデータを活用したプレーデータの可視化
スポーツでは、ビッグデータを活用することでプレーデータの可視化が可能になりました。具体的には、スタジアムに設置された専用カメラや選手が着用しているウェアに専用の機器を付けることで、選手のプレーデータを可視化します。選手の走行距離やスプリント回数、ピッチのどの位置にプレーが集中しているかなど可視化できるプレーデータは、多岐にわたります。
このように、プレーデータを可視化することで、チームや選手を客観的に分析し合理的なトレーニングが可能になっています。また、プレーデータの可視化は、チームや選手だけではなく、観戦にも活用されており、勘観客の体験と満足度を向上可能です。
自動運転にはビッグデータが不可欠
自動運転で直面する可能性がある様々な状況に対処するためには、膨大な学習データ、つまりビッグデータの分析が必要となります。自動運転では、走行中に別の自動車や人、建物、車線などさまざまなデータを識別して分析しなければなりません。それで、自動運転に必要不可欠なものは、高性能なセンサーとカメラ、AI(人工知能)です。
例えば、道路上の「犬」をどんな状況下でも「犬」と判別して正しい運転判断を下さなければなりません。どんな天候下でも、どんな犬種でも、犬がどんな体勢であろうと、時速100kmで移動している中でも正しい判断を下さなければ、乗っている人の安全は守れません。そのためには、膨大なデータの収集と解析が欠かせません。
既に国内でもレベル4の自動運転が一部認可されており、これらはビッグデータの活用が不可欠です。今後ビッグデータのさらなる活用により、無人自動車のタクシーや宅配などさまざまなサービスが展開される可能性があります。
ビッグデータのほかにも自動運転に用いられるAI技術、現状の課題についてはこちらの記事で解説しています。
農業でビッグデータを活用した生産性向上
農業では、ビッグデータを活用することにより生産性向上を実現しています。ビッグデータを活用することで、気象データや農作物の状況を詳細に把握できるようになりました。農業は、事業として自然の影響を避けられません。いくら設備投資しても、一度の台風や豪雨などにより収獲できなくなってしまうことが生じます。
最近は、気象データやGPSデータ、IoTセンサーから得た土地や作物にまつわるデータを解析することで、農作物の生育に合わせた作業をリアルタイムで行えるようになっています。
農業でデータ収集のために活用されているIoTセンサーの仕組みや種類について、こちらの記事で特集しています。従来は予測・対策できなかった状況や課題がはっきりするため、収穫量を高め、生産性向上につながっています。
飲食店でビッグデータを活用して需要予測
飲食店では、ビッグデータを活用することで需要予測が可能になっています。ビッグデータを活用した人流解析や顧客データ分析により、自社売上やライバル店の売上予測や需要予測、新規出店のシミュレーションや仕入値の原価一括管理が可能です。食材の仕入値や人件費などのさまざまなコスト、天候、季節ごとの売り上げデータなどを含めてデータ分析を行うため、より正確な数字を計算できます。従来のようなベテランの勘やセンスによる売上予測と異なり、根拠がクリアで属人化していない需要予測が可能になっています。
ビッグデータとAIによる需要予測システムの開発外注方法、おすすめ開発会社についてはこちらの記事で特集しています。
売上予測以外でも、顧客の利用履歴や属性に合わせたおすすめメニューをタブレットに表示するデジタルメニューは既に実用化されています。また、ビッグデータで回転寿司の需要を予測することで廃棄ロスを大幅に減らした大手回転ずしチェーンの例もあります。膨大な顧客情報を分析したうえでの販売促進は、今後さらに注目されていくことでしょう。
ビッグデータを企業が活用するメリット
ビッグデータを企業が活用するメリットは次の通りです。
1. 現状の把握が可能
2. 未来の予測が可能
3. 画像認識による異常検知が可能
メリットを知ることで、ビッグデータを企業で活用する際にスムーズな導入が可能になります。ビッグデータを企業が活用するメリットを詳しく解説します。
現状の把握が可能
ビッグデータを活用することで、さまざまな外部データと自社の現状のデータを客観的に見比べられ、より詳細に現状の把握が可能になります。それにより、今後取るべき行動や課題を明確にできます。データ収集や可視化などを行えると精度の高い現状把握が可能になるため、ビッグデータを扱えるようになることは重要です。
未来予測が可能
ビッグデータを活用することで、今後起きるであろうことを従来以上の精度で予測できます。予測できれば、取るべき対策や課題が明確になります。例えば、農業でビッグデータを活用することで、今年はXX月に台風が発生する可能性が高いことで収獲が影響を受ける可能性を予測できます。予測に基づいて、台風対策や収穫スケジュールを検討できるでしょう。
AIによる未来予測の仕組み、種類、問題点についてはこちらの記事で解説しています。
画像認識による異常検知が可能
ビッグデータの活用によって、従来はデータの入手難度やサイズゆえに解析が難しかった画像認識による異常検知が実用可能になります。これは、医療や製造業、自動車、農業などさまざまなシーンで恩恵を受けられます。
例えば医療現場では、レントゲンやMRIなどの画像診断の際に医師でも気づけない病気を検知できるようになります。また、製造業では、製造ラインにAIカメラを設置することで人的リソースを増やすことなく異常検知が可能です。ビッグデータの活用によって可能になる高度な画像認識により、異常検知が可能になり生産性向上が期待できます。
異常検知に強い開発会社をこちらの記事で特集していますのでご覧ください。
ビッグデータの導入方法
ビッグデータの導入方法は次の通りです。
- データ収集・蓄積
- データの可視化
- データ分析・解析
導入方法を知ることで、実際にビッグデータを扱う際に意識するべきことがわかります。ビッグデータの導入方法を詳しく解説します。
ビッグデータ収集・蓄積
まずは、ビッグデータの収集・蓄積を行います。
ビッグデータ収集の代表的手法、コツをこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
大きな企業では、既に多くのデータを持っており外部からのデータ調達は不要な場合もあるでしょう。
一方、起業して間もないスタートアップや中小企業などは自社で準備できるデータが少ないかもしれません。その際は、Webサイトや論文などから必要なデータを収集・蓄積できるでしょう。
データ収集を代行してくれる会社への外注も検討しましょう。
データの可視化
収集・蓄積したデータの可視化を行います。収集・蓄積したデータはそのままの状態だと活用できない場合もあります。データクレンジングやデータプレパレーションをして処理できる状態にしましょう。
データクレンジングとは?スムーズに行う方法、おすすめのツールについてこちらの記事で解説しています。より広範囲でデータを整えるデータプレパレーションについてはこちらで説明していますので併せてご覧ください。
データ分析・解析
可視化したデータをもとに、分析・解析を行います。分析・解析にはさまざまな手法があります。目的に合わせたものを選びましょう。
統計学によるデータ分析6手法と特徴を以下の表で示します。
分析名 | 手順 | 特徴 |
---|---|---|
クロス集計 | アンケートやリサーチなどの質問項目を2つ以上掛け合わせたデータ分析 | 比較的簡単なデータ分析 |
クラスター分析 | 複数の情報から似た要素を集め、いくつかのグループ(クラスター)に分類するデータ分析 | 「階層的手法」と「非階層的手法」の2つの手法 |
回帰分析 | 異なるデータの関係性を比較し分析する。 | 結果に対する原因・要因の把握。 |
因子分析 | データの中から潜在的な共通点を見つけ出し、類似した要素のグループに分類 | さまざまな要素の中から強い影響力を与えている要素を明確にできる |
時系列分析 | 時間の経過とともに変化するデータを対象としたデータ分析 | データ分析を繰り返していくほど精度が高まる |
判別分析 | 既存のデータをもとにどんな基準で分けられたのか分析し、未知のデータがどのようなグループに分類されるか予測 | 未知のデータを分析できるため、将来の予測が可能 |
ビッグデータについてよくある質問まとめ
- ビッグデータを活用する主なメリットは何ですか?
ビッグデータを活用する主なメリットは以下の3点です。
- 現状の詳細な把握が可能になる
- 高精度の未来予測ができるようになる
- 画像認識技術と組み合わせて異常検知が可能になる
- ビッグデータの具体的な活用事例にはどのようなものがありますか?
主な活用事例には以下のようなものがあります。
- コンビニ:顧客データを活用した販促やサービス改善
- 医療:病気の予測や早期発見
- 製造業:品質テストの最適化
- 農業:気象データを活用した生産性向上
- 飲食店:需要予測による在庫管理の最適化
- 自動運転:膨大な学習データを活用した安全性向上
- ビッグデータを導入する際の一般的な手順は何ですか?
ビッグデータ導入の一般的な手順は以下の3ステップです。
- データの収集・蓄積:自社データや外部データの収集
- データの可視化:データクレンジングやデータプレパレーション
- データ分析・解析:目的に応じた分析手法(クロス集計、クラスター分析、回帰分析など)の選択と実施
まとめ
ビッグデータを入手するためのコストが格段に下がり、導入ハードルは確実に下がっています。そして、今までビッグデータの活用シーンが想像できなかった業界や業態でもどんどん活用が進んでいます。
ビッグデータの活用によって、競合企業には全く見えていない市場や需要が見つかるかもしれません。また、現在行っている事業の全く新しい展開戦略が開けるかもしれませんので、今回の記事で紹介した参考事例を活用してください。
AI Marketでは
AI Marketの編集部です。AI Market編集部は、AI Marketへ寄せられた累計1,000件を超えるAI導入相談実績を活かし、AI(人工知能)、生成AIに関する技術や、製品・サービス、業界事例などの紹介記事を提供しています。AI開発、生成AI導入における会社選定にお困りの方は、ぜひご相談ください。ご相談はこちら
𝕏:@AIMarket_jp
Youtube:@aimarket_channel
TikTok:@aimarket_jp
運営会社:BizTech株式会社
掲載記事に関するご意見・ご相談はこちら:ai-market-contents@biz-t.jp