最終更新日：2023-09-07

【INTERVIEW】実践的な内容を繰り返し学習できるAI研修サービスAxross

エンジニアに向けたAI研修サービス「Axross」の提供を開始したSBイノベンチャー株式会社（2022年4月からはソフトバンク株式会社として提供）。同社では、実践的な内容を繰り返し学習できる「技術ブログとE-Learningを掛け合わせたAI教育サービス」を提供しています。

今回は、そのSBイノベンチャー株式会社が提供する「Axross」の事業責任者である藤原竜也さんにお話をお伺いしました。

実践で使えるサービスが欲しい

■Axrossの提供を開始された背景を教えて頂けますか？

—藤原さん

「自身がプログラミングスクールに通っていた際に、「こんなサービスが欲しい」と想い、立ち上げました。

今やインターネット環境さえあればあらゆる情報が得られ、様々なことが学べます。無料の技術記事もたくさんありますし、プログラミングスクールや集合研修だけでなく、E-Learning、動画サイト、書籍等、様々な手段で基礎的な知識は学べます。実際、小学校でもプログラミング科目が必修化され、大学生の文系でもコンピュータサイエンスを勉強する人がいます。ITを活用するための”見習いレベル”の初心者層は増えています。

ただ一方で、体系的な知識を学んだからといって、そのまま業務に応用できるかと言えば別問題です。英語の場合はわかりやすい例だと思いますが、日本では10年以上英単語や文法は覚えていても、社会に出て業務として活用できるほどの英語スキルを持ってる人が少ないように、プログラミングについても同様の事象が起きています。プログラムはただのツールで、使いこなせないと意味がないですし、資格や書籍で知識をインプットしても、覚えただけで使えない人が多いです。先端ITの技術変化は凄まじく、常にアンテナを張って情報をインプットし、能動的にアウトプットを繰り返さなければ、すぐにスキルは陳腐化してしまいます。

実際に社内外でエンジニア職の同僚や先輩から、IT業界の有識者の方までヒアリングしましたが、エンジニア（特にプログラミング）に関しては、体系的な知識だけでは不十分で、実務経験こそが唯一のスキルアップの方法のようでした。実務経験の機会がなくても、能動的にアウトプット（演習）を繰り返し、実践的な経験を積み重ねることが必須です。そして、「エンジニア初心者レベルはたくさんいるが、案件対応ができる中級レベルは極端に少なくなり、中級レベルまでの育成が課題だ」と、口を揃えて話していました。転職や部署異動の際も、やはりエンジニア初心者レベルではほぼ採用されず、実務経験が必要不可欠です。

そのため、「教育と実務のギャップを埋める」ことに挑戦することは、社会的意義があるのではないかと思いました。

プログラミングは、教育と実務には大きなギャップがあるという課題感から着想し、「学んだが活用できない人を減らしたい」という想いでソフトバンクとヤフーのエンジニアメンバーでAxrossを立ち上げました。私自身も、日本のデジタル後進国といった現状を変えたいと思いますし、世界のAI革命に乗り遅れないようにと思ってサービスを運営しています。」

■では、Axrossの概要を教えて頂けますか？

—藤原さん

「Axrossは、基礎知識は学んだが、実務への応用が課題である見習いエンジニアが、エンジニア経験者のノウハウが詰まった教材″レシピ″をもとに、実践的な内容を繰り返し学習できる「技術ブログとE-Learningを掛け合わせたAI教育サービス」で、実際にコードを打ちながら実践的に学ぶことも可能です。

Axrossのレシピは、他の体系的な学習教材とは異なり、現役エンジニアの経験に基づくノウハウが含まれ、具体的なビジネス課題を解決するテーマや、実務で使えそうな実用的な内容が記載されたプログラミング学習教材です。

料理のように、より身近で手軽に、楽しくものづくりができるような理想の世界感と、何かしらのアウトプットができるようになる目的型の教材にしたい、という想いを込めて、教材を ”レシピ”に喩えた独自のフレームワーク構成を用いています。」

■Axrossの強みを教えて頂けますか？

—藤原さん

「サービスの強みは、様々な業務で活かせるこのレシピです。AI・機械学習のテーマでソフトバンクグループ内外の現役エンジニアに声をかけ、独自のチェック体制下で一定水準のクオリティをクリアしたものを提供しています。

現在すでに、画像処理や言語処理、音声処理、時系列データ分析などレシピの数130を超え、1200名以上のエンジニアが利用するサービスになりました。（※2021年5月時点）」

■これまでの実績やお客様の評価などを教えて頂けますか？

—藤原さん

「昨年6月にβ版をリリースし、ソフトバンクのグループ会社7部門、社内約200名を対象にトライアル検証を行いました。その中で、過半数のユーザーから継続利用意向があり、「自分の学びたい内容がピンポイントで見つかり、今まで知らなかった知識を知ることができました。」や、「実務をされている方が書いている教材なので、より身近で実用的な内容だと感じました。今後の業務に活かそうと思います。」等といったフィードバックをいただきました。

上記の実績が評価され、ソフトバンクでの社内導入が決まり、先月に追加で資金調達も行いました。」